静かな水面を漕ぐようなテンポで、埃をかぶる前に取り出しては慈しんだ記憶がある二人が素敵だった。
劇中のイニョン「인연」縁、ひっくり返すと「연인」恋人となります。
こういう韓国語の美しさがなかなか分かりにくくなってしまうのが勿体無いです。
タイトルのPAST LIVESは直訳で「前世」ですが、タイトルバックに長いスペースがあることで、単語としての味わいもあり、言葉の一つ一つ、言語の交差性の妙を編み合わせた一作。
このゆったりと記憶をすり合わせ、大人になった現在をも慈しみ、ビターでも温もりがある余韻を作り出したストーリーテリングの成熟度は目を見張るものがありますし、何より、観た人の中でしまっていた思い出も滲んで映画の一部になってしまうような語りの優しさが好きでした。
ほんの少しのインサート、日差しの当たったコップや薄暗い室内が映るだけでそういうのを想起した。夕方のにおいやきゃっきゃ言った後、車の後部座席でまどろんだ子供の頃、、
わぁ〜、良い映画見たわー。
