時代と現実生活に流されてしまい実らなかった関係性に思いを馳せた二十年後。
2024年アカデミー賞にて作品賞などにノミネートされていた本作、予告編などから気になって見に行ってみた。
まず本作は韓国に住む少年と少女二人の関係性をその10年後.20年後と時系列を変えて見せていくドラマになっており、そういった時系列変化ものの中ではクロスカッティングを使用した混ぜこぜ演出をせず順当な見せ方が実はエモい作品に仕上がっていた。
まあ言うなれば"ニューシネマパラダイス"完全版におけるトトとエレナの時代を超えた関係性を抽出したような作品、20年後の時系列であの時ああしていればよかったよねと再会によって語られる淡くも切ない後悔が滲み出る感じなんかは同じくA24配給"エブリシングエブリウェアオールアットワンス"を想起させる要素も◎。
しかしまあ本当にいい塩梅で"成立しなかった関係性"についての映画だ、10年後の時系列にて描かれる生活や仕事を優先するために選ばなかった道が見える仕様なんかはちょっと"ララランド"を想起する点も。だがあくまでもやはり20年後の再会シークエンスで切なく爆発するエモーション、そこに注力されているのがハイライトだったと言うべきか。だが個人的に"成立したが離れてしまった"展開を予想していたためかちょっと肩透かしを食らった面もあり、しかしここまで繊細に時代を超えて二人の関係性を語る語り口は凄く好みだった。
あとライカート"ファーストカウ"のクッキー役だったジョンマガロが良い味出してましたな。
