べり

パスト ライブス/再会のべりのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

会話の一つ一つ、それぞれの間や静寂、キャストの服装や体型諸々の質感が素敵で、ディテールが美しい作品だなと思う。

結ばれそうで噛み合わないノラとヘソンの24年間。現実ってきっとこうだよね。

アーサーの不安やバーのシーンでの疎外感がしっかり描かれることで、アーサーへの愛しさもしっかり芽生えてしまう。
ヘソンとノラが結ばれてほしかった気持ちと、アーサー・ノラ夫婦が壊れなくてよかったという安心感とで板挟みになる…。

「泣き虫だった少女ナヨンはもういないけど、消えたわけではない。あの日あなたのところに置いてきたの」というニュアンスのセリフがすごくよかった。
ノラはそれを自分の中で消化してきただろうし、ヘソンは24年の時を経て再会してようやくそれを飲み込むことができたんだと思う。
きっと俗にいう「運命」だったかもしれない2人。だけどお互いどうしようもなく子どもで、物理的に引き離されてしまって、せっかく再会できても遠距離を乗り越えられるほど大人でもなくて。
ちゃんと付き合うことさえできないからこそ、思い出が美しいし、大人になってからも心のどこかに相手の影を求めてしまうんだろうな。

叶うことのなかったほろ苦い初恋の思い出を掘り起こされるような、そんなもどかしくて切ない大人の恋愛映画だった。
金曜レイトショーで観て正解だった〜
べり

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