cm

パスト ライブス/再会のcmのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.0
めちゃくちゃ純愛って感じで
なんか素敵な時間でした。
色々なディティールが絶妙という感じで、現代ラブストーリーのお手本のような印象でした。

話は単純で、幼少期に分かれてしまった初恋の幼馴染と大人になって久しぶりに会う
というだけの映画なのだが
描かれる24年間の軌跡が、なんとも絶妙。
12歳の時の2人の関係性も
ベタベタしすぎず、キラキラとした幼少期というより
クラスで仲良くなった、近隣に住む少年少女という感じで、なんとも爽やかだし悪く言うとありきたり、めっちゃリアル。
あーこんな関係性の男の子いたような気がするっていう。

青年期になり、SNSを通じてまた交流が出来て
時間を忘れてビデオチャットに明け暮れてしまう
12年ぶりに話す幼馴染との出会いに、突発的な衝動はありつつも物理的な距離があることに焦がれても触れることができないもどかしさ
会いに来て欲しいと互いに言っても、自分で引いた人生設計を飛び越えることは出来なくて、
ナヨンは不器用だから遠距離恋愛と自分の野心を両立することは出来ず、一時絶縁を選択してしまう。

これってとってもリアルなんじゃないかなとか思う。
ラブストーリーでよく描かれる、離れていても君のことを〜とか、ずっと君を〜、いつか会えた時に必ず〜、的な劇的な恋愛は一部なもので、実際問題物理的な距離は障壁でしかない。

アーサーとナヨンの会話でナヨンが
「家族の野望に自分はなれているのか?結果が自分と結ばれることが本当にナヨンにとってよかったのか?
「流れついたこの人生がわたしだ」
的な会話があったが、とてもよかったしすごく響いた。

たらればの人生なんて無くて、自分の選択の結果がそこにあるだけで
それが正解だったか間違いだったかなんてわからない。
「でも忘れないで、私はあなたのことを愛してる」
「わかってる忘れてない、でも信じられなくなる時があるんだ」
めちゃくちゃエモいな。

ナヨンは決して口にはしなかったが、ヘソンともし付き合って結婚していたら
と絶対に思っていたけどずーっと心の片隅に思い続けていた。
ナヨンは
「前世で出会って、今世では結ばれない運命だったのかもね」
とめっちゃくちゃオシャレな事を言ってくれる。
それは、一時の衝動に駆られヘソンのいるソウルに行かなかった過去の選択を間違いだったと認めたくないことと
アーサーを確かに愛していることを美しく肯定する言葉だったと思う。

ただ、ラストシークエンスでナヨンが泣き崩れているのをみて
とっても人間的だ!!!とほっこりしました。
これでアーサーとキスでもして終わるようであれば、ナヨンってめっちゃドライなんだな〜で終わっちゃうけど
あのシーンがあることで、12歳の少女ナヨンがちゃんと生きていることが示唆されていて本当に良かったです。

エターナルサンシャインは、お互いの嫌なところを見せ合いながらもなんだかんだ運命で結ばれている!という大恋愛物語だせど、それと対極するような映画だったと思います。
良い映画でした。
cm

cm