あいろん

パスト ライブス/再会のあいろんのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃいい映画だった。
見てよかった。
こういうしっとりした繊細な洋画は、違う言語で見ると感情移入できない気がしてたけど、そんなことなかった。

非常に共感できる内容でめちゃくちゃ考えさせられた。
運命の2人であることをお互いに肯定しつつも結ばれない二人、ロマンチックなようでめちゃくちゃ現実的な感じもする。

運命の人とか、忘れられない人とか、全員にとってあるものなのかわからないけど、概念的にはあると思う。
子供の頃の好きな人との思い出って本当に美化されてるから、その人との関係性において、その人のことを好きな自分と、自分のことを好きなその人っていう雰囲気に引き寄せるパワーがとても強い。
直感的に強く惹かれ合う相手、それを運命の人と呼ぶのなら、その人と付き合ったり結婚して幸せになれるかとか、すごく相性がいいかというと、それはまた別の話だと思う。でも、その人が世界で一人の特別な人っていう事実は本当だと思う。

自分がナヨンと同じ状況に置かれた場合のことを想像すると、とりあえずアーサーともヘソンとも100点満点の関係性を保っていくっていうことはもちろんできないから、とてもしんどいなーと思う。もちろんこのしんどさはアーサーにもあるしヘソンにもある。
このしんどさがこの映画の一番味わい深いところ。

ハイライトは、やっぱりヘソンがニューヨークにきてからの数日間がすごくよかった。
アーサーとナヨンの会話、僕は二人の物語を邪魔してるんじゃないだろうか?
そんなふうに言ってくれるアーサーという人間性の大きさにびっくりした。アーサーにとってはナヨンが運命の人だったのかなあ
ナヨンとヘソンが一緒にNYを観光する時間は、大人になった二人の、近づきそうで近づかない、でもお互いの好きが見える、そわそわした時間だった。
で、やっぱりバーでのシーンがとても印象的で、3人でいるのに、韓国語で二人が話し続けるシーンは、会話の内容もあってすごいインパクトだった。二人が結ばれてた未来を想像してしまうヘソンとそれを否定するナヨン。言葉の壁と、心の壁の。。。ここの描写すごかった。
それで、ヘソンがタクシーに乗るまで、そしてナヨンが家に帰るまでのシーンがとてもよかった
今世ではどうにもならない恋だと察したとて、来世に期待する気持ちって、、、。
帰宅してアーサーの顔を見て号泣するナヨンはやっぱりヘソンのことが好きなんだなと、明確に再確認させられた。

それにしても20年という月日は本当に長い。初恋というのは、すごいパワーをもっているな。

ポスターにアーサーがいないことに違和感を感じるほどに、アーサーの存在がこの物語には欠かせなかった。
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