しゅんぺい

パスト ライブス/再会のしゅんぺいのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

単純な設定であるにも関わらず、巧みなショットと間、雄弁に語る表情が相まって豊かな物語になっていた。多くを語らず、ディテールに推進力を持たせる、映画としてのあり方が好きだった。

椎名林檎が
「あたしの名前をちゃんと呼んで
身体を触って必要なのは是だけ認めて」
と歌ったことが一つの愛の真実だと思っているのだけど、再会したときはヘソンの名が呼ばれて、別れのときはナヨンの名が呼ばれる。名前をちゃんと呼ぶ、という愛情表現と、受け取った側のその後の戸惑い。

「韓国的で〜〜、韓国的な〜〜」と排他的にヘソンを描写するノラの言葉を受け入れる。眠りにつく前に自分の不安を伝える。心苦しい状況に招かれたのにヘソンへの理解と尊敬を忘れない。そんなノラを玄関の前でタバコ吸いながら待ってるアーサー、私はあなたのように成熟した大人になりたいよ。

メリーゴーランドと、猛スピードで左から右に流れる景色に“イニョン”を表現する。人生の有限性、不可逆性をわかり切った3人のスナップショットを覗く苦さよ。もうイニョン。
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