まっつ

ミツバチと私のまっつのレビュー・感想・評価

ミツバチと私(2023年製作の映画)
2.4
まず最初に、この映画を見ている間ずっと混乱していたということを告白しなければならない。
というのも主演のソフィア・オテロが女性にしか見えず(実際そうなのだが)、中盤を少し過ぎるあたりまで「男の子になりたい女の子」という構図で見てしまっていた。
ところが後半に差し掛かるあたりでこの前提が覆されてしまうため「ココはどうありたかったのか」の輪郭が掴めないまま最後まで走り抜けることになる。上映後に購入したパンフレットのあらすじやエッセイを読むことで話の前提がようやく見えてきた、といった感じ。
話運びが不親切と言われればおそらくそうだろう。ドキュメンタリー調の撮り方をしているし特に説明めいたシーンもないため、実際混乱はさせられた。意地悪と感じたのも事実だ。だがそう感じさせることがこの作品の目的でもあるのだろうと思う。人間は単純ではない。もっと言えば「彼女は"何者"か」を見ようとしていなかったのはこちらなのだから。総じて教科書的ではない。それは悪いことではないのだと思う。ただ教科書的な作品が(反面教師的な内容ですら)存在していないこの国で、本作がどれほどの人にすっと受け入れれるのだろうとも思う。
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