しゆ

ミツバチと私のしゆのレビュー・感想・評価

ミツバチと私(2023年製作の映画)
4.5
本人が「自分は女の子だ」、「ルシアと呼んでほしい」と言っているのだからその声を聞けばいい、なぜできないのかと思ってしまうが、このシスノーマティブな、ジェンダー二律背反的な世界ではおそらくそう簡単ではない。

「家でならいいが外でドレスを着せるなんて」と怒りだす父親のように「世間体」を気にしたり、あるいは自分の中でも葛藤がありながらすなおに受け止めることができないアネのような親や親族たちはおそらく日本であっても、そこらじゅうにいる。

ジェンダーについての訴えでなくても、自分も母親に話を聞いてもらえず真剣に悩んだ経験があるため、ルシアのつらさはすこしだけ分かる。
自分のセクシュアリティが分からなかった10〜20代、もしルルデスのようなおばさんが身近にいて、家族たちの意識を変えてくれていたらと思えてならない。

そして、自分が大人になった今、もし身近にセクシュアリティやジェンダーについて誰にも話を聞いてもらえず苦しんでいるティーンズがいたら、必ず聞いてあげようと思った。

彼人らの命や尊厳以上に大事なものなどないのだから。
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