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Still Life(英題)
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『Still Life(英題)』に投稿された感想・評価

[] 70点

ド田舎の平原を通る列車に合わせて、誰もいない踏切にゲートを下ろし続けて33年。主人公モハマドとその妻の暮らしは静けさに包まれている。会話は最小限に抑えられ、代わりにゲートを上げる、寝る、お茶を飲む、絨毯を編む、ご飯を食べる、煙草を吸うといった動作が強調される。特に、コップに入れたお茶を少しずつ皿に移してチビチビと飲む動作は人を変え時を変えて何度も繰り返される。彼は定年退職を言い渡され、少しは反抗するも、最後の日々はこれまでと同じく淡々と過ぎ去っていく。ちなみに、ほとんど同じ構図が同じくイランで製作された『白い牛のバラッド』でも登場していた。
1960年代末期に興り1978年のイラン革命と共に終焉したイラン・ニューウェーブという運動があり、ソフラブ・シャヒド・サレスはその第一期に活躍した人物で、アッバス・キアロスタミの最も尊敬する監督の一人とか。

都会から車で何時間もかかるという何もない田舎、電車など殆ど来ない線路の踏切を上げ下げする仕事を30年以上続けている老人。家に帰れば食事をとり、お茶を飲み、煙草を吸い、寝るの繰り返し。夫の帰りを待つ間、生計の足しに絨毯を黙々と編む老妻と二人、ささやかな生活を送っていた。ある日、鉄道会社から届いた紙きれ一枚で、老人は定年という名の解雇を一方的に告げられた事を知るが…。

無口な老人のつつましい生活を描いている為、大きな変化は映像の中に表れないが、決して飽きない。画面が静謐であるが故に否応なしに老人の一挙手一投足に目線がクローズアップされる。茶碗が鳴る音、時計の針の音、煙草に火をつける音、激しい咳と、音もまた強く意識される。


当時のイランはパフラヴィー2世のもと「白色革命」と呼ばれた西洋化、近代化運動の真っただ中で、識字率の向上(当時のイランの文盲率は95%)、女性参政権、一夫一妻制やヒジャーブ着用禁止による男女平等の推進など、一定の成果をあげた反面、農地改革の失敗や急速なインフレによる貧富の差の拡大で、その恩恵に浴したのは国民の一部であり、また性急な宗教改革は保守勢力からの反発も強く、70年代後半には改革は破綻を来し、1978年のイラン革命へ繋がるのだが、本作は丁度白色革命全盛期を描いていることを念頭に置くと、老夫婦とそれ以外の人々の、絶望的なまでの経済格差と、満足とまではいかないまでも、穏やかな日々を過ごしていた老夫婦が急速な社会の変化に対応出来ず、洪水で流された人々のようにその生活基盤を失った犠牲者である事が分かり、静寂の中に虐げられた人々への扱いに対するサレスの非難と怒りを感じる。

老人がささやかな抵抗を見せた時、アッサラーム・アライクム(神があなたと共にありますように)の言葉が恐ろしいほど冷淡に、投げ捨てるように使われる事に驚く。この辺りを指して政府批判的だという誹りもあったようだ。
Still lifeという語は普通「静物画」と訳される。本作が日本で公開された際は「静かな生活」という題がついているが、それでも生きる、人生は止めどもなく続く、という両義が込められているように思う。