はるねずみ

彷徨いのはるねずみのネタバレレビュー・内容・結末

彷徨い(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

イギリスのサスペンス映画。

黒人差別の文化が残るイギリスの地で、生きづらさを抱えながらも、白人の夫と優秀な子供に豪邸、名誉ある職業を手にして成功を収めた女性が主人公。

自身も黒人女性でありながら、普段はウィッグを被って地毛を隠し、白人社会に溶け込みながら暮らしている。

黒人や、黒人を連想させるものが目に入るたびにトラウマが蘇るような描写があるため、黒人差別がテーマの作品かと思いきや、中盤以降一変する。

謎の男女が突然視界に入ってくるなど不気味でゾッとする場面、心理的に残酷な描写はいくつかあったものの、「ホラー」というほどではないので、怖い映画が苦手な人でも安心して見られると思う。
(家族で視聴するには気まずいシーンも一部あり)

終盤は「乗っ取り系」の胸糞展開が続いた。全体の雰囲気・テーマは映画『US(アス)』、終盤の残酷・理不尽さは映画『ファニーゲームU.S.A.』に近いと感じた。

ただし、私は「得体の知れない存在」に恐怖を感じるタイプなので、その正体が判明してからは、なんとなく先が読める展開と、彼らのやや現実味のない行動に中だるみを感じた。

中盤で、ストーリーの核となる重要な真相が明らかになるが、そこに関しては胸が痛んだ。何の罪のない人が、誰にも知られずに悲しい思いをしたり苦しめられる話は辛い。



「持っている人」「持っていない人」の対比

黒人差別問題

「自分の幸せ」だけを追求することは善か悪か?

親から子、子から親への愛の違い

因果応報



これらについて、考えさせられる映画だった。

サスペンス映画としての面白さで言うと、★5段階評価なら★2~2.5の間。

理由は、わりと展開が読めてしまうことと、終盤の展開は理不尽なこと続きでハラハラするものの、演技のわざとらしさに目が行ってしまう。真相を知り、心情が理解できるからこそ「え?そうなる?」とやや違和感を覚えた。

ただ、オチは意外で「あっ・・・そういうことか」と納得。序盤の伏線回収が綺麗にされていた。



問題の本質から目を背け、逃げ続けても、解決にはならない。むしろ、それはさらに膨れ上がり、新たな問題を生むかもしれない。



そういう教訓が込められている作品だと思った。
はるねずみ

はるねずみ