ちくわ

魂の殺人~家庭内・父からの性虐待~のちくわのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

内容へのスコアではなく、沢山の人の目に触れて欲しいと思って。
ある程度の年齢を超えている男女みなに見て欲しい。
幸いにもこういった被害者ではない私には、彼女達の爪の先くらいの苦しみしかわからないかもしれないけれど、それすら知らないのと知っている違いは大きいと思いたい。

嫌だったらその時言わないとわからん、と言っていた加害者がいたが、
大の大人が子供にそんな事をしたらいけないということが言われなきゃわからないのか。

彼女達は被害にあう事が避けられないとしたら、せめて加害者が他人だったらよかったと思ったんじゃないだろうか。
他人だったらいくらでも非難、糾弾、暴言を吐け、そしてもっと簡単に司法で裁く事も出来たであろう。

他人からの被害ですら、性犯罪被害者はなかなか言い出せないと聞く。
それが血縁、怖い時もあるけれど大好きだった父親、兄弟。
そして曲がりなりにもお金や時には愛情をかけて育ててくれた親だからこそ激しく思い悩み苦しみ、周りに言えるわけもなく、非難の言葉を思うだけで罪悪感を感じていたかもしれない、そこから行き着く答えが自分が悪かったのではないかと強く強く責めることになるのは想像に難くない。
その結果自分を大切に思えなくなり、その代償が自傷行為になる。
意を決して母親に相談しても、結局、見て見ぬふり。
この時の絶望を想像するだけで胸が締めつけられる。
最後の砦だったはずなのに。
彼女達は無性の愛を注がれるべき、絶対に切れない血縁2人に裏切られた。

漫画家の内田春菊氏も同じ被害者で母親は見て見ぬふりをしていた。
母親が依存型なのが共通しているのは加害者がそういうタイプを無意識に選んでる可能性が高いように思うし、離婚を考えようにもまだワーママやシンママが色眼鏡で見られる時代背景ももちろんあったとは思うが、やはり母親の人格によるものも大きいだろう。

最後には彼女達が自らの力で生き抜き、人生を切り開き進んで行った姿はまさにスライバーだ。
そして人助けまでしようとしている。
私は彼女達から「被害者」という存在だけではない生きる為の強い想いを教えてもらった。
ちくわ

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