しん

War Bride 91歳の戦争花嫁のしんのレビュー・感想・評価

War Bride 91歳の戦争花嫁(2023年製作の映画)
1.8
主人公の恵子の魅力的なライフストーリーがあまり生かされず、色々な点で過剰なドキュメンタリーになっていたのが残念でした。音響もそうですが、何よりも変な字幕や場面の切り替えが気になりました。監督が普段はドラマを作っていることで、なんとなく過剰演出の理由もわかりました。

監督が親族ということで、全部詰め込みたくなったのかもしれません。気持ちは分からなくないのですが、結果的に一つずつのストーリーが薄くなり、中核的なメッセージがぼやけていました。「戦争花嫁」という言葉の持つ意味、恵子のアメリカへの愛国心の淵源、人種差別の実態、取り上げることができるテーマはいくつもあったと思うのですが。

また教会や伊勢崎町の語りを描いていながら、現地とは関係のない場所で撮るやり方もあまり好きではありませんでした。『ショアー』のように、何もなくなっていたとしても場所にこだわる姿勢がドキュメンタリーには必要なのではないでしょうか。絵の綺麗さよりも、場所へのこだわりが欲しかったです。

「戦後80年」を記念しての再上映だったようです。戦争について考えて欲しいとのことです。これを見て、戦争を考えるのは難しいのではないでしょうか。横浜双葉中学校の現在の校長など、とってつけたようなインタビューも散見されました。もう少しなんとかなったのではないかと思います。
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