Genichiro

書かれた顔 4Kレストア版のGenichiroのレビュー・感想・評価

4.7
紅を引くために何度も手鏡が切り返され、それをじっと捉えていたカメラがパンして姿見を映す。その瞬間にエクスタシーに達しました。やばすぎる!!!!とにかく坂東玉三郎の所作が常時素晴らしく、これはとんでもないものが記録されてしまっているという気持ちになる。実際の舞台の映像や坂東玉三郎のインタビューの合間に、杉村春子&武原はんへのインタビューが挟み込まれ、更には大野一雄の舞踏に終盤はtwilight geisha storyとかいうフィクション作品になったりとなんだか分からない。杉村春子の退場シーンが演出であるということを示すようなカット(リハーサルのような映像)でメタな演出が挟み込まれたりしているが、そこにいやらしさは無い。狙ってやった、というよりもっと無意識でやってるような常時変なバランスの今作は見ているとなんか落ち着いた気分になる。「女方は男から見た女である」という至極当たり前の結論に到達するということは、歌舞伎という表現のある種の限界を見せられているような。杉村春子を代表する作品として『晩菊』を引用してきて唸ったが、ここらへんは蓮實重彦の入れ知恵かもしれない。
参考:https://arthousepress.jp/articles/kakaretakao_1022eurospace/
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