Jellyfish

ビヨンド・ユートピア 脱北のJellyfishのレビュー・感想・評価

2.5
ある家族の脱北の旅路を追ったドキュメンタリー。サイドストーリーでは、ソウルに住む元脱北者が北朝鮮に残る息子の脱北を試みる姿も描かれる。

脱北を支援するのは、脱北者を妻に持つ韓国人牧師と彼の「ブローカー」ネットワーク。
韓国との国境には隙間なく地雷が敷き詰められているので、ルートは中国国境経由。国境を流れる鴨緑江を渡河する映像こそないものの、そこから安全地帯であるタイまでの1万2000kmを記録したスマホや携帯電話の荒れた映像には、それだけで十分な迫力がある。
なお、脱北途中の映像は実物で、一部回想シーンで水彩画調アニメを、北朝鮮の現実を伝える画像にジャーナリストなどが隠し撮りしたアーカイブ映像を使用している。

一家の最長老は80歳のおばあちゃん、旅路の最中に語られる金正恩を信じ切った言葉が実にやるせない。牧師達の支援がコロナの流行で大幅な縮小を余儀なくされたところで映画は終わる。

来場者には北朝鮮における人権の実像を伝える小冊子が配られる。それとは別に映画のパンフレット ¥800 も販売。本作製作に至った経緯や、脱北支援活動の現状などを知ることができる。
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