Jellyfishさんの映画レビュー・感想・評価

Jellyfish

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ベイビーガール(2024年製作の映画)

3.0

テック企業の女性CEOと男性インターンとの危険な恋の駆け引きの物語。

恋愛遊戯的な雰囲気と、どちらにも感情移入できない胸くそな展開に、途中挫折しかけるが、中盤過ぎから、おや?と違和感を感じ始める。
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レイブンズ(2025年製作の映画)

5.0

写真家 深瀬昌久 の実人生に着想を得た物語。
深瀬昌久もその作品もまったく知らずに観賞したが、これが、二日続けて劇場に足を運んでしまうほどの出来 (ファーストディということもあるのだが)。

いきなり
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FEMME フェム(2023年製作の映画)

4.0

黒人ドラァグクイーンと白人ゲイ・バッシャーとの、スリリングなラブストーリー。

コレは拾い物。クイアな夜のロミオとジュリエット、悲恋の物語。

分かり易さが良い方向に作用していて、クイア映画としてもエ
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ミッキー17(2024年製作の映画)

3.0

ポン・ジュノ 監督最新作のSFディストピアもの。前作の『パラサイト』が2019年というから、久しぶりの長編劇映画。

前半の回想パートは、スピーディーで風刺が効いていて面白い。エクスペンダブルという存
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ミンボーの女(1992年製作の映画)

4.0

特集上映「伊丹十三4K映画祭10作品」の6本目。映画祭もいよいよ後半に突入ということでか、B5版クリアフォルダーで来場者プレゼントが再開。
ホテルを喰い物にするヤクザと、民事介入暴力(民暴)専門女弁護
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代々木ジョニーの憂鬱な放課後(2025年製作の映画)

2.5

ピュアで内気でちょっと変わった高校生ジョニーの出会いと別れの物語。
木村聡志 監督 KCU (Kimura Cinematic Universe )の最新作。ミスマガジンとの企画ものであることをパンフ
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エミリア・ペレス(2024年製作の映画)

3.0

性転換したメキシコの麻薬王の物語。
賞レースの前半戦をリードしていた作品ということもあり、ものすごく期待していたのだが驚くほど刺さらず。

ミュージカルとして、楽曲や歌唱がそこまで素晴らしいわけでもな
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そして、アイヌ(2024年製作の映画)

3.5

大久保のアイヌ料理店「ハルコロ」。その店主 照代 さんを中心に、現代のアイヌ民族とその周辺の事情を伝えるドキュメンタリー映画。

照代 さんはアイヌ・コミュニティにおけるアイコン的存在。
多岐にわたる
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At the terrace テラスにて(2016年製作の映画)

3.0

ある豪邸のテラスで繰り広げられる男女7人の会話劇。
2016年公開作を、木村聡志 監督特集上映「KCU plus ONE」の招待作品として劇場観賞。

登場人物が KCU (Kimura Cinema
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ミゼリコルディア(2024年製作の映画)

5.0

アラン・ギロディ 監督特集の3本目。2024年の監督最新作。
大雑把に言えば、三人の幼馴染の男性とその周囲を巻き込んで、三角・四角・五角な関係がこじれてゆく話。原題の「Miséricorde」は「慈悲
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ノーバディーズ・ヒーロー(2022年製作の映画)

2.5

アラン・ギロディ 監督特集の2本目。
パリの街を舞台に描く、移民とテロとクイアの奇妙なミクスチャ・コメディ。

太った娼婦と太った男。金銭の絡まないセックスをしたいのに、途中で必ず邪魔が入りなかなか成
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あげまん(1990年製作の映画)

2.5

捨て子ナヨコの半生を描く、伊丹十三 の監督第5作目。TVで何回か観ているからだろう、ストーリーの大半に見覚えがあった。

置き屋に身売りされる13歳の少女時代から宮本信子に演じさせる大胆さ。

芸者に
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湖の見知らぬ男(2013年製作の映画)

4.0

とある湖のほとり、ゲイが集まるハッテン場。そこで起こる事件を描いた奇妙な味わいの物語にして、伝説的なクイア映画。
2013年の作品の国内初公式公開を、アラン・ギロディ 監督特集の1本目として観賞。
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ネムルバカ(2025年製作の映画)

4.0

二人の女子大生が主役の、学校生活を全く描かないシスターフッドもの。
同名の原作コミック (未読) を、『ベイビーわるきゅーれ』の 阪元裕吾 監督が映画化。

一人でスーパーに行けない女イリスと、風呂に
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悪い夏(2025年製作の映画)

2.5

「ナマポ」(生活保護) の不正受給をめぐる泥沼の物語。原作は 染井為人 の同名小説 (未読)。監督は 城定秀夫。

河合優実、窪田正孝、伊藤万理華、木南晴夏 といった演技巧者な俳優陣で観せる映画。
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教皇選挙(2024年製作の映画)

5.0

現代のローマ・カソリック教会を舞台に、教皇選挙の裏側を首席枢機卿ローレンスの視点で描く密室政治劇。
監督は『西部戦線異常なし』 (Netflix) の エドワード・ベルガー。

教皇不在の期間「使徒座
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早乙女カナコの場合は(2024年製作の映画)

2.5

2010年代後半の早稲田を舞台にした学生恋愛もの。原作は 柚木麻子 の『早稲女、女、男』 (未読)。

原作はタイトル通りの「早稲女」ものらしいのだが、映画からは早稲女味も早稲田味もほぼ感じられず。大
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Flow(2024年製作の映画)

3.0

ポスト・アポカリプス的世界をぬこが旅する物語。
動物たちの自然な仕草と、何より水の中の描写が素晴らしい。

ただ、これはSFなのか、ノアの方舟的な宗教寓話なのか、作者が言いたいことがイマイチ理解できず
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マルサの女2(1988年製作の映画)

4.0

特集上映「伊丹十三4K映画祭10作品」の4本目。あまり覚えていないが、TV放送で1回は観ているはず。

前作は個人の脱税だったが、今作は悪が格段にスケールアップ。もはや国税庁査察部というより検察特捜部
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ドマーニ! 愛のことづて/まだ明日がある(2023年製作の映画)

2.5

1946年のイタリアを舞台にした女性の権利獲得の物語。
原題は 'C'è ancora domani' (まだ明日がある)。

恋愛映画と思わせておいて別の着地を見せるストーリー。雰囲気のあるモノクロ
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風たちの学校(2023年製作の映画)

2.5

問題のある子供たちを預かる地方の全寮制の学校を舞台に、生徒と親と先生の姿を記録したドキュメンタリー映画。
先日観た『ぼくと駄菓子のいえ』の 田中健太 監督の最新作。

三者面談や学校行事のシーンで、親
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スイート・イースト 不思議の国のリリアン(2023年製作の映画)

2.5

女子高校生リリアンの現代アメリカ地獄めぐり。
観てから知ったが、『レッド・ロケット』の サイモン・レックス、『Saltburn』の ジェイコブ・エロルディ が出演。

主演の タリア・ライダー も、カ
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ぼくと駄菓子のいえ(2015年製作の映画)

3.5

大阪は富田林にある駄菓子屋さん。そこで繰り広げられる人と人との交流を記録した、60分の中編ドキュメンタリー。
撮影は2014年から2年間くらいの、2017年公開作。制作指導に 原一男 氏が名を連ねる。
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ロングレッグス(2024年製作の映画)

2.5

「この10年で一番怖い」という触れ込みのホラー映画を、ホワイトデーのレイトショーで観賞。

冒頭から大きな「Nicolas Cage as LONGLEGS」のクレジット。だから、彼のキャスティングは
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マルサの女(1987年製作の映画)

4.0

特集上映「伊丹十三4K映画祭10作品」の3本目。
ラブホテル オーナーと国税局査察部 (マルサ) との虚々実々の駆け引きを描く、脱税サスペンス映画。

『タンポポ』の食欲と性欲から、本作は金欲と性欲と
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名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)

4.0

ディランがギターを担いでNYにやって来た1961年に始まる5年間の物語。
史実を改変している部分も結構あると聞くので、伝記映画というより「事実に基づいたフィクション」として観た。

まず感じるのは、ア
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ケナは韓国が嫌いで/韓国が嫌いで(2024年製作の映画)

2.5

韓国で生き辛さを感じていた女性が海外留学をする話。
本作に絡めて現在特集上映中の チャン・ゴンジェ 監督の過去作、『ひと夏のファンタジア』や『5時から7時までのジュヒ』を観てからの観賞。

過去作のよ
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ひと夏のファンタジア(2014年製作の映画)

4.0

奈良を舞台に、同じモチーフ同じ俳優で二つのストーリーを描いた韓国人監督作品。ユーロスペースの チャン・ゴンジェ 特集上映で観賞。
2014年に、なら国際映画祭が若手監督を招聘して制作したご当地映画。公
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Playground/校庭(2021年製作の映画)

3.0

ベルギー?フランス?の小学校に通う兄妹。二人の過酷な日々を幼い妹の視点から描く。原題は『Un Monde』、一つの世界、狭い世界。

被写界深度の浅いカメラで追いかける妹の背中。ぼやけた視界の先で何が
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タンポポ(1985年製作の映画)

5.0

伊丹十三 監督の言わずと知れたラーメン・ウエスタン。実家にあったLDで何度も観た作品を劇場で初観賞。
来場者には「伊丹十三4K映画祭10作品」と題した小冊子が配られる。

冒頭の、まだ目の吊り上がって
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Underground アンダーグラウンド(2024年製作の映画)

5.0

地下世界をテーマにした83分の映像詩にして音響詩。
もしかしたら寝てしまうかもという、観賞前の心配は全くの杞憂に終わる。

1970年代にNHKで放送された、佐々木昭一郎氏の『四季 ユートピアノ』を彷
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プロジェクト・サイレンス(2024年製作の映画)

2.5

韓国製の「ブリッジ・パニック・スリラー」というジャンルもの。

100分弱とコンパクトな尺に、素直なストーリーと小ネタの回収が心地よい。
お決まりの政治ネタと、続編を匂わすラストに苦笑。『オオカミ狩り
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ジュ・テーム、ジュ・テーム(1968年製作の映画)

2.5

1960年代に制作された、タイムトラベルもののフランス映画。日本初公開らしい。

『エターナル・サンシャイン』の元ネタのひとつと言われているらしいのだが …
うーん、確かにマシンの中の体は消えてるが、
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石門(2022年製作の映画)

5.0

現代中国を舞台に、望まぬ妊娠をした女性の受難を描く。
ホアン・ジー は台湾の女性監督。その夫 大塚竜治 と共同監督の日本制作作品。

話題の『アノーラ』同様に若い女性がひどいあしらいを受ける物語。
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ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

4.0

セックスワーカー アノーラの、やがて悲しきシンデレラ・ストーリー。
監督は『レッド・ロケット』の ショーン・ベイカー。『フロリダ・プロジェクト』は未見。

イヴァンに一目惚れされるアノーラが、とてつも
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風に立つ愛子さん(2024年製作の映画)

4.0

3.11 で被災した独り身の女性の7年間を記録したドキュメンタリー映画。
藤川佳三 監督の前作『石卷市立湊小学校避難所』は未見。

被災時69歳だった愛子さんはお喋りな人。方言の混じる滑舌の良い大きな
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