ドキュメンタリーとアニメーションは観ない自分が、近所の劇場で空いた時間に何気なく鑑賞。
でもこれは映画館で観られてよかった。
アカデミー賞受賞作品なのに
平日のお昼だからなのか観客3名...
その寂しい空間がかえって映像の中に放り込まれたような異常な緊張感で、まさに稀有な映画体験であった。
市井の人々の惨状に関しては数多くのレビューがあるのであえて言及しない。
個人的には病院からZマークの戦車が現れてからのカメラがブレまくったシーンのリアルさがヤバかった。あの状況の中でウクライナ特殊部隊の連中の冷静さが凄く印象に残っている。病院のお医者さんや看護師さんには畏敬の念しか感じえない。
改めて世界地図を広げてみると、ロシア国境に近いマリウポリは、同じ北緯の地域の中で重要な（不凍港）がある『クリミア半島』（2014年にロシアに武力併合された）に海路でも陸路でも繋がる地政学的に重要な港湾都市。
海に囲まれた島国で生まれ育った我々にはなかなか肌感覚として理解できないが、そもそも陸地の国境なんて神様が決めたものではなく、歴史の中で人間同士の醜いパワーバランスによって生まれたもの。（近代で酷いのはイギリスの二枚舌外交が遠因のイスラエルとパレスチナ）残念ながらこのような愚かな過ちはこれからも繰り返されるのか...
そして犠牲になるのは常に弱い人々。
この作品が配信でもいいので人々に観られるべき、という多くのレビューには完全同意。NHK BSのドキュメンタリー特集で放送されたみたいだが、なんならもう一度NHK地上波で日曜夜9時にノーカットで放送すれば良い。
