カステラちゃん

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のカステラちゃんのレビュー・感想・評価

4.4
AP通信の記者として、チェルノフ監督が自分のやるべき仕事を遂行した記録映画。自身によるナレーションは、目の前の故郷の地獄図に、心が砂漠の如く渇いてしまったかのようで印象的。自分は家に帰れば自分の娘に会えるのだもの。マリウポリの人々と違って。
彼はインタビューの相手にフルネームを問う。相手の感情を言葉にして引き出そうとする。言葉を話す人間同士で起きた事実を、視聴者は映像と共に咀嚼する。必死の思いで伝えた記録の後ろには、幾重もの惨劇と絶望感に苛まれる医師や看護師の姿がある。
男も女も泣き叫ぶ事すらしない。もう元の日常は帰って来ない。でもウクライナ人として生きたい。当たり前じゃないか。