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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のo219028tのレビュー・感想・評価

4.8
そもそもドキュメンタリーとは、その定義からして、作家にとって不穏なものなのだろう。不穏さとは、撮られている被写体が、いつの間にか、撮っている作家の意識を超えてしまうことにほかならない。
また、この作家がそのことに無意識であるか意識的であるかにかかわらず、映画における、人間のからだの動から不動への無媒介的な移行もまた不穏なのだ。それは、被写体としての人間は、ショットにあって動かずにいること、すなわち不動のものであるというのは死以外にありえないというほどの意味である。いきなり物質と化したかのような呆気なさで、動から不動への瞬時の移行は異常なまでの不穏さを引き寄せる。そして、それがこの映画の画面には定着している。
つまり、この映画を見るということは、戦争を「撮る」ことの不穏さに賭けた作家の真剣さがみなぎった画面を見ることを、意味している。
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