「ウィンター・ブラザーズ」「ホワイト、ホワイト・デイ」が良かったフリーヌル・パルマソン監督 x「ウィンター・ブラザーズ」でも組んだエリオット・クロセット・ホーブ主演ふたたび。
物語はフィクションだが、19世紀末にアイスランドで7枚のガラス板写真が木箱に入っていたのが発見されたことからインスピレーションを得たとのこと。
デンマークの若手牧師が植民地アイスランドの人里離れた村に教会を建設し教区で司祭になるよう命令を受け現地に向かったが、それがなかなかの厳しい旅になる…という話。
出だしから些細なつまづきあり、先行き不安になるのはルーカスだけでなくスクリーン越しに見ている観客もだろう。
美しく壮大な景色とは対照的に厳しさと恐怖がじわじわくる。終わって呆然とした。
パルマソン監督作を観るのは3作目だけど、回を重ねるごとに見易くなってる気がする。だけどやっぱり一筋縄ではいかない厳しい状況を描いている。
19世紀後半のデンマークとアイスランド、植民地とされたアイスランド側からすればいい気はしないのもわからなくもないが。
静かにイヤミを垂れるガイドの老人ラグナルが曲者。彼には彼なりの信念や思いがあるからルーカスとも対立する。
なんだかんだで上手くいくんだろう…なんて思ってると…。
とにかく美しく壮大な自然の風景のなかで、地味にイヤな人間の姿を双方から捉えていてだんだん見ているのがつらくなる。
溜め込んだ怒りを小出しにする者と任務のために行動するのを妨げられてイライラする者、敵意むき出し、和解という言葉は彼らの中にはないのか。
異文化、アイデンティティ、植民被植民が絡んで対立、いつの時代にもありそうなこと。
なんてこった…な話だったがとても見ごたえあった。
エリオット・クロセット・ホーブは演技はもちろん、いい顔してるよね。