これこそいまの時代に必要な、真のパーフェクトデイズだと思った。木漏れ日降り注ぐお耽美な日常を、パーソナル世界に自閉して愛でることがパーフェクトとは到底思えない。
誘導的な展開や演出を一切禁じてここまで魅せるものにできるということへの驚き。
脇も含めて役者の皆さんが徹底して素晴らしく、その人間として生きているようにしか見えない。
互いの病気をいじり合う所とか最高だった。本当の意味で相手を気遣うってこう言うことだよなと。
作劇的なうねりよりも、そこに生きる人間(役者)の力を信じる強さを感じた。自信がないと怖くてできないよなと。横道世之介とか、パターソンの鑑賞後感に似ている。
上白石萌音の無条件の歩み寄りはやや唐突に感じつつも、気にならないくらい全体を通して良かった。
人を信じたくなるし、そんな自分と出会うことが楽しみになる、そんな優しい映画だった。(未読だが、この監督にこの原作を当てたプロデューサー側のセンス素晴らしい。そして本編のど頭に原作名と原作者をクレジットする所からも、ほんと誠実に向き合っている人達なんだなと。いま話題になっている分、より強く思った。)
何気ない朝の訪れも、明けない夜でさえもなんだか待ち遠しくなった。
たまには星を見上げてみようかな。