カペリートのパチモン

夜明けのすべてのカペリートのパチモンのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.8
正直予告見た時は、「あーはいはいこういう淡いフィルム恋愛モノに生きづらさ重ねて感動煽る系ね」と思っていたが、あまりに私にとって刺さる映画だった。一番仕事で辛かった時期にこの映画があったらどんなに救われただろう。全ての展開が優しく温かく、美しかった。

メインの俳優さんたちも本当に良かったが、画面端でのびのびと遊んでいるベテラン俳優さん達のお芝居がものすごく良くて、そののびのび具合がこの映画の優しさの強度を一つ上げている気すらした。

最後、恋愛的に収束していかないのもすごく好きだった。別に性愛なんか絡まなくても異性間において心からの救いを得ることはあるという当たり前のことを、ゆっくり丁寧に描いてくれた。

又、映像や光の当たり方も良い。ざらついていて色温度の高い量産化エモかと思ったら、夜の街明かり、きらりと光る自転車の車輪、ノートを見ているときにふんわり光る上白石萌音の顔など、随所にセンスが光っていた。

本当に海外で評価される日本の映像って、海外映画の真似ごとではなく、こういうありふれた日本の景色を美しくハイセンスに切り抜いた作品であるべきだと思う。