しまお

夜明けのすべてのしまおのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.3
なんと優しく美しい映画だろうか…。
画面が雄弁に語るこの作品の素晴らしさを未熟な自分の言葉で伝えようものなら、大切な部分が零れ落ちてしまいそうだ、などと考えながら反芻しては、また目頭を熱くする。

この作品には、生き辛さを抱える人々(つまりそれは主人公達であり、過去、未来、いつかのあなたであり私である)と、その営みへの優しい眼差しが一貫してある。
抑制の効いた本作は決して押し付けがましくなく、登場人物たちのそれと同様、非常に心地の良い距離感で観る者に語りかけてくる。

何かを受け取る/渡すことで我々は他者と結びつく。もちろんモノだけでなく、感情すらも交感をする(時に思いがけない飛距離をもって)。その運動こそが生を重ねていくことの喜びであり、意味なのかもしれないと、あのボールの行方に想いを馳せる。
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