れお

夜明けのすべてのれおのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.9
「夜についてのメモ」

夜明け前がいちばん暗い。
これはイギリスのことわざだが、人間は古来から夜明けに希望を感じる生き物のようだ。
たしかに、朝が存在しなければ、あらゆる生命は誕生しなかっただろう。
しかし、夜が存在しなければ、地球の外の世界に気づくこともできなかっただろう。
夜がやってくるから、私たちは、闇の向こうの途轍もない広がりを想像することができる。

私はしばしば、このままずっと夜が続いてほしい、永遠に夜空を眺めていたいと思う。
暗闇と静寂が私をこの世界に繋ぎとめている。どこか別の街で暮らす誰かは、眠れる夜を過ごし、朝が来るのを待ちわびているかも知れない。しかし、そんな人間たちの感情とは無関係に、この世界は動いている。

地球が時速1700キロメートルで自転している限り、夜も朝も、等しくめぐってくる。
そして、地球が時速1.1万キロメートルで公転している限り、同じ夜や同じ朝は存在しない。いま、ここにしかない闇と光。すべては移りかわっていく。

ひとつの科学的な真実。
喜びに満ちた日も、悲しみに沈んだ日も、地球が動き続ける限り、必ず終わる。
そして、新しい夜明けがやってくる。



終始涙目で見た映画。
れお

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