あかめ

ツィゴイネルワイゼン 4K デジタル完全修復版のあかめのレビュー・感想・評価

-
1980年に製作された作品の4Kリマスター上映ですが、今週封切り作品をいろいろ観た中で一番お客さんが入っていてびっくりでした。
何度かテレビや配信では観ていましたが、やっぱり劇場で観ると全く別物になりました。
アラーキーによるワイルドな原田芳雄と妖艶な大楠道代のスチールのイメージが強い作品ですが、改めて観ると藤田敏八が主演で大谷直子がヒロインでした。
本業映画監督の藤田敏八の堂々たる俳優ぶり。原田芳雄の怪演を見事に受け止めていて静かに負けない存在感を見せています。長澤まさみにそっくりな当時の大谷直子さんの美しさ。それがお互いの存在に嫉妬する二役で堪能出来るという凄さ。
サラサーテの盤の話し声やいくつかの謎の音に翻弄されたりするミステリアスな展開と大楠道代が原田芳雄の眼球を舐めたりするシュールでエロティックな場面などが詰まっていて、中盤までは麿赤児らが演じる門付の三人組の登場シーンなどコミカルな場面もありながら、終盤はゾッとするような怖さでホラー映画のように終わります。
亡き父の霊と夜な夜な語り合う娘が父の約束を果たすため、主人公を迎えにくる展開からの、その娘のわらじの足跡に六文銭の模様。六文銭は三途の川の渡り賃なので、彼女は冥界に主人公を連れ込もうとしています。その見せ方の怖さが堪らなくホラーでした。
あかめ

あかめ