まりりんクイン

チャレンジャーズのまりりんクインのレビュー・感想・評価

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)
3.9
コートとベッドで絡み合う2人。
テニスの試合は相手との関係性。
向かい合った瞬間、恋人の様に相手と繋がる。
交雑した感情の矢印が、強固で太い一本に集約されて行く快感。

私は最高のテニス/映画が見たいだけ。

推しカプのベスト絡みが観たい腐女子の話にしか見えない。

尻に敷かれる系真面目男子のアートとクズ系人たらし男子のパトリック。
女王様気質のタシ的には、自分に従順なだけのアートは可愛いけど何処か物足りない、自分と対等にあろうとするパトリックはムカつくけど何処か惹かれてしまう。一長一短。

せや!2人がくっつけば万事解決や!

パトリックは絶対バイセクシャルだと思う。
パトリック「今日はお前が嫉妬してる所を想像しながらタシとセックスするよ」
ってそれもう実質アートとセックスしてるだろ。

アートはアートで、タシとパトリックが付き合ってるのを知ってからの態度が、パトリックに嫉妬してる様にも見えるし、パトリックをタシに取られたくないと思ってるようにも見える。

アートからサウナで「別にお前は重要な相手じゃない」って言われた時のパトリックのしょんぼり顔ほんと草

ラストでパトリックがタシとの不倫をアートにバラすシーンも、嫌がらせというよりはアートに振り向いて欲しい(タシの支配からアートを奪い返す)為の行為に見える。
パトリックにとってアートは恋敵だしタシは親友を奪った女なので、両方への感情が重いのが面白い。

最後に互いにニヤッとする瞬間の
「やっぱ俺たちの関係に外野はいらないよな?」感、好き。

例によってこの手の映画あるあるだが、題材がテニスである必要はあんま無い。
けどテニスの試合展開と2人の過去・感情の動きがリンクしているのがとても良い。
パトリックとタシが付き合っている時はパトリック優勢、アートが結婚してからはアート優勢、タシがパトリックと不倫してからはパトリック優勢で、不倫を暴露したタイミングで対等(タイブレーク)になる。

やはりアートにとって自分が尽くして来たタシの不倫は、裏切りであると同時に呪縛からの解放だし、パトリックもそれがわかっていたから迷った末にわざわざ伝えた様に見える。というか、不倫をしたのも最初からアートを思っての事だったんじゃ無いか?
アートを思いながらタシとセックスする奴だしな。

タシの顔色を伺いながらのプレイから解き放たれた事で、昔の様に全力でテニスを楽しむ事が出来るようになった2人。
そして、タシが本当に見たかったのはそういうテニスだった。

学生時代に初めて3人でキスをした時の雰囲気が、「2人のベロチューをご満悦で眺めるタシ」という構図が、3人にとっては1番ベストな状態だったと言える。
本当に欲しかった物をタシは自ら遠ざけてしまっていたと思う。

起こっていることのしょうもなさに対して描写がスタイリッシュ過ぎる。
正直こけおどし感もあるが、内容がしょうもないのでチャゼルやノーラン程鼻に付かない。愛嬌がある。

ラストで爆笑&絶頂した。
今年の暫定ベスト絶頂映画。 

ライアーゲームみたいなサントラの使い方クソおもろい。
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