デンマちゃん

AIR/エアのデンマちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

AIR/エア(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

00年代後半にファッションを初めて意識し始める頃には、Just do it.がデカデカとプリントされたウェアもSwooshやJumpmanが配されたキックスも街に溢れていて、今更なんだか気恥ずかしい。スポーツウェア界の王様だと捉えていたNikeの、Jordanブランドが確立される前のバスケットボールラインの惨状なんて考えたこともなかった。金積まれても履きたくないってよっぽどだなあ。

話自体は良くも悪くもアメリカのBased on a true story…系お仕事映画そのままで、主人公は窓際族(Tape Archive!)だが実は本質的な課題意識を持っていて的な骨格もあるある。80sのヒットソングメドレーってのもStrangerThingsでやってたし、後半のプレゼン大会の件はJTなら15秒のコマーシャルに詰め込んでしまえるレベル。

わかりやすい作劇でも中核が「キングオブスニーカーAir Jordanの誕生」だったから最後まで注意を持続できた。映画で描かれることはないが、コンペのconverseはNIKEに買収されるし、Air Jordanに憧れたシカゴの少年Kanye Westが後年Air Yeezyラインを立ち上げ(色々あって)Adidasのクリエイティヴに進んでいくなど、本作が描くドラマはスニーカー界の決定的なゲームチェンジの前夜だ。

Chris MessinaとMatt Damonが電話越しに口汚く罵りあう場面が大好き。大の大人がプッツンするシーンは好物である。Chrisが真摯に金稼ぎと向き合ってさえいれば結果的に友達作りに困ることはないのだ、と軽口を叩いていたのに終盤ちゃっかり独りでステーキ食べてるのも笑えた。