サンヨンイチ

AIR/エアのサンヨンイチのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
4.2
負け犬たちのワンスアゲイン、
ミドルクライシスの逆襲、
一世一代の大博打。

感涙駄々漏れの史実映画は
ベンアフレックの専売特許とも言うべき得意分野であるゆえ、
この面白さは頷ける。
答えの出ている(観客が結末を知っている)物語を、
過程の脚色の抑揚だけでドキドキさせ感動させる
圧倒的な魔力を、この監督は確かなものにしている。

マットデイモン自身は本人の
主演作の出来に乱高下が激しいイメージがあるものの、
やはり竹馬の友であるベンアフとの相性は
異常なまでに抜きん出ており、
安心感がある。
二枚目ではないが情熱だけで良くも悪くも一本調子なキャラクターなら右に出るものはいないだろう。

80年代を彩るBGMもまた、
イチイチ乗れてしまう。
終盤の最高潮な場面で
『time after time』 とか
ちょっとファンメイドな選曲が
この映画にはピタリとはまる。

マイケルジョーダンの才能を信じる者同士の
至高の心理戦。
その先にある栄光と影。
プロプレーヤーたちの地位を約束した
ラストの断固とする訴えとナイキの決断。
現在だからこそできるストーリーテリングの巧妙さに興奮する。

いやこれ、面白いなーってずっと呟いていた。