ロック、カレー、そして旅。冒頭のピンクの風船が地面を転がっていく映像だけで、この作品がカンパニー松尾によって撮影されたことを嫌というほど思い知らされる。
「Christmas of Love」のインサート映像。エスカレーターの前後に並んだ老夫婦、夫が妻のコートの襟を直してやるほんの2、3秒のショットがやたらと印象に残っている。こういう奇跡のような瞬間を嫌味なく撮れちゃうのが松尾さんなんだよなぁ。
初期サニーデイのマンチェ〜ネオアコ時代の映像や関係者の証言は貴重ではあるものの、構成としてはややバランスが悪いような。解散前の黄金期ともいえる『サニーデイ・サービス』から『LOVE ALBUM』までがかなりの駆け足で割愛されてしまったのは残念かな。新ドラマーを迎えたサニーデイの再起動(とコロナ禍)ってのがメインテーマではあるんだろうけど。
ハルシゲさん追悼ライブの二人だけで演奏した「セツナ」、フル尺で収録してくれて本当に嬉しい。珍しく黒のストラトを使って分厚い音でソロを弾く曽我部さん、真っ向から対峙する田中さんの勇士が忘れられない。
とある地方ライブのリハで田中さんにがっつりダメ出しする曽我部さんの姿には思わずこちらの背筋も伸びる。こういう場面もカットせずに上映する姿勢に敬意を表したい。エンドロール後にアンコールがある映画なんて素敵じゃないか!