かすとり体力

ミンナのウタのかすとり体力のレビュー・感想・評価

ミンナのウタ(2023年製作の映画)
3.7
清水崇監督と言えば、「お!呪怨の監督が地元福岡最恐心霊スポットを映画化しとるやんけ!観らんと!」と意気揚々と『犬鳴村』を鑑賞し、そのあまりの低品質さ(もうここまで言っちゃう)に衝撃を受けた苦い過去があり。

都市伝説好きとしては、その後の『樹海村』『牛首村」等もテーマとしては大好物であるも、なかなか手を出せずにいた。

そんな中届いた本作。
なんと、SNS等での評価はなかなか良い。どころか、「傑作」と評している声まである。

ということで、期待と不安が入り混じった感じで鑑賞することと相成りました。

結果、その期待と不安が両方当たってた感じ。

ネガティブなほうから言うと、『犬鳴村』同様、脚本にちゃんとしてねぇところが多い。
(あ、一応フォロー。『犬鳴村』に比べると全然良いんだけど、っていうレベル感だが)

メンバーの失踪とカセットテープが脳内ですぐに結びつくはずないよね、とか、さなの死に方無理あるやろ、とか、さなの弟は結局どうなったんや、とか。

ここら辺は、好みの話ではなく、論理的誤謬よな。

つまり、曲がりなりにも組織として映画制作してるならば、制作プロセス上でクリア出来んかったんかいな、と思わざるを得ないところです。

あと、最後に見せつけられるさなの造形と結末の甘っちょろさを見て、「あ、これ子ども向け作品だったんか」と感じた次第。それなら大人が色々無粋なダメ出しして申し訳ない。

一方良いところ。

やっぱ恐怖演出はうめぇ。

Jーホラー文脈で過去蓄積されて来たナレッジがしっかりと活きている。
怖がらせ方もバリエーションに富んでいて、「Jホラー恐怖演出技法集」的な仕上がりになっているようにも感じた。

怖がらせ方の緩急のつけ方も良い。
「緩」のところはじっとり怖がらせる、あるいは徐々にテンションを蓄積させておいて、
「急」のところは真っ向勝負。普通に「こわっ!!」って思っちゃった。

ということで可もあり不可もある作品でしたが、まぁホラーというジャンル映画としては結構楽しめたのか。

102分の上映時間、これで100分切ってたらより良かったです。大人の事情は分かるが、Generationsのライブ映像がっそり削ったら達成出来てましたね。
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