明石です

オクス駅お化けの明石ですのレビュー・感想・評価

オクス駅お化け(2022年製作の映画)
2.8
駅のホームでヘッドバンギングをしながら走るに電車に吸い込まれていく女性にまつわる謎を新人記者が解き明かすミステリーホラー。複数の怪死事件がひとつの謎に繋がり、しかもその死が伝染していくストーリーはまるで韓国版の『リング』。もちろんずっとマイルドで、ずっとシナリオの脇が甘いことを除けばだけど。

最後まで観終えた上でもやっぱりヘッドバンギングしながら謎の力でホームの上を引っ張られていく序盤の女性の映像が一番怖く、それだと結局、作品の元ネタになった有名な映像が一番怖いということになる。つまり、わざわざ長編映画にする必要がなかったのではという虚しい結論に80分間を経て至ってしまったことになる。

あの手この手でストーリーを展開させようと努力した跡がある反面、どれも無理矢理感が半端なく、またキャラクターの造形も一面的で深みがない。私は、映画の登場人物は、「人間ってそんな単純じゃないよな」と思われたら終わりだと思ってる。カリカチュアライズに甘えてしまった作り手の落ち度。それが見えると観客はやっぱり冷める。

シナリオが全体的に『リング』に似てるなあと思いつつ観終え、最後にここにレビュー書きにきて驚いた。高橋洋の脚本なのか、、この人、リングの頃から進化してないのかな。監督の中田ビデオはビデオホラーの頃から退化し続けるJホラー界の老害になってしまったわけだけど、この脚本家が進化してないのはホラー映画のプロット作りだけだと信じたい。

あと、複数の謎をひとつの原因に(やや強引に)繋げるシナリオは、白石晃士のものだと思う(実際私は、彼が脚本に関わっているという断片的な情報だけを頼りに本作を観始めた)。白石晃士のあの手法は、白石映画だからこそ成り立つのだなと再確認した。シリアスさを笑い飛ばすような独特の作風あってこそ生きるプロットなのだなと。
明石です

明石です