明石ですさんの映画レビュー・感想・評価

明石です

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ジュ・テーム、ジュ・テーム(1968年製作の映画)

4.6

「自殺は健康にいいんだ……」

時間を1年過去へ戻すことのできるタイムマシンの被験者となった男が、自分がかつて殺したらしい恋人の死の真相を探る。

というあらすじだけだと、不毛さをあらかじめ約束された
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暁闇(2018年製作の映画)

4.5

音楽の好みと社会からの疎外で結びついた3人の男女の友情、そしてその崩壊。セットではないロケーション(主に室内)撮影ゆえの画面の狭さ、息苦しさ。狭さを逆に活用した、見せるべきものだけを見せる、有用に限定>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.2

「お名前、ラムいうんでっか。苦くて甘くて、良い名前でんな……」

学園祭の前日に閉じ込められた高校生が、その楽園のような無限ループから抜け出すまでのお話。「好きな人を好きでいるために、その人から自由で
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

5.0

けちな賭博に関与したかどで摘発され、三年の刑を食らった男が、出所日に、偶然出会った女に惹かれ、彼女に愛され、そして愛するようになりながら、それでも自分を裏切った賭博仲間を殺しに行く、1日限りの逃避行。>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

5.0

「誰かが君を愛している。もし君も誰かを愛しているなら、空は白と言ってくれ。雲は黒と相手はいう。それが愛の始まりだ」

ロックダウンされ、パリの街から遮断されたポンヌフに暮らす脚の悪いホームレスが、新た
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風が吹くとき(1986年製作の映画)

4.4

核戦争が勃発、「政府のパンフレット」の指示通りに自宅にシェルターを作って、生き延びた老夫婦のその後の物語。これはなんというかもう、贅沢な90分間でした。

ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

3.2

「きみは大丈夫だよ。だって、面白いもん」

TV業界の隅っこでしがないサラリーマンとして働く四十男が、かつて生涯でたった一度だけ、自分よりも好きになった「愛すべきブス」の結婚報告をSNSで発見、友達リ
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白夜 4K レストア版(1971年製作の映画)

4.5

「1年後の同じ場所、同じ時間にもう一度会おう」

深夜のポンヌフで飛び降り自殺を試みる、美しい女性。その自殺間際の女に一目惚れした男が、彼女との「夢のような四日間(原題)」を過ごすことになる。

ロベ
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コクリコ坂から(2011年製作の映画)

5.0

すべての画とすべての声とすべての余白が好き。音楽しかない時間が好き。「カルチェラタンの○△」と書かれた横断幕が千切れて「カルチェ」だけになる序盤のシーンも好き。プールに飛び込んだ風間さんに思わず手を貸>>続きを読む

ミッション:インポッシブル2(2000年製作の映画)

3.7

「これはそもそもが不可能な任務だ。困難くらい、何てことないだろう?」

悪い奴らはとことん悪く、正義漢はとことん正義で、トム·クルーズは不死身、窮地の際には変身マスクが飛び出し、最後は愛が勝つ。超王道
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007/ゴールデンアイ(1995年製作の映画)

3.7

「あなたは女性蔑視の太鼓の恐竜で冷戦の遺物よ」

ピアーズ·ブロスナンの「007」シリーズは、わたし達というよりもどちらかと言えばわたしの父親の世代の映画で、子供の頃にリビングで父の後ろで何となく(た
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.5

「君と過ごした時間に一瞬の後悔もない。駅でのあの別れ以外は…」

ひとつひとつのショットが長いのが圧倒的に良い。わたしは何も長回し信者ではないけど細切れにすぎる微塵切り編集もさほど好きはなく、このシリ
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007 スペクター(2015年製作の映画)

4.4

カメラワークと編集の小気味良さが『スカイフォール』に引き続き段違いに良くなり、画面のスタイリッシュさが増し、監督がサム·メンデスに替わって以降完璧に化けたなあうへへこのシリーズという感じ(『アメリカン>>続きを読む

007 スカイフォール(2012年製作の映画)

5.0

ちょっと、ヤバいものを見てしまったかもしれない。これ、人生で観た映画の中でもっとも凄まじいオープニングだった。冒頭の15分間、一瞬たりとも目を離せずにいた、、と思っていたら、ラストまで全然目が離せませ>>続きを読む

007/慰めの報酬(2008年製作の映画)

4.3

画角は相変わらずうちの実家の庭くらい狭いけど、編集ではなくカメラ自体に動きが加わったおかげで、ぐっとスペクタクルが増した。閉じた空間性、息苦しいまでの密度。そういうのを好きになるのが、このシリーズを好>>続きを読む

007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)

3.7

「悪いね、君は僕の、タイプじゃないんだ」
「あなたには知的過ぎる?」
「いや、独身だ」

こんな売れ線確実の映画を、こんな低予算B級映画みたいなカメラワーク(と編集)でやるのか?正気なんだな?とプロロ
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

4.8

陰でスパイ業を営む高級テーラーショップ、キングスマンの誕生秘話。本当にスピンオフかと疑う面白さ。レイフ·ファインズに純度100%の正義の男がこんなに似合うとは。『シンドラーのリスト』しかりハリポタしか>>続きを読む

キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

4.8

「俺が紳士のマナーを心得ていることに感謝しな」

カントリーロードを歌いながら自爆するシーンでこの映画は私的名作判定がなされたのである。ジュリアン·ムーアの悪役とても良い。大統領も超悪人だし、アメリカ
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テケテケ2(2009年製作の映画)

4.3

テケテケした。人間関係ははドロドロ、松嶋初音さん鬼好き。ちゃんと面白いホラー映画ですよこれ。

超・悪人(2011年製作の映画)

5.0

10年間で107人の女性を「ズボ」ってきた超・悪人が、10周年の記念日に、雑誌のクルーを引き連れて、記念すべき108人目を「ズボ」りに行くも、超・悪人のくせに相手の女性を本気で愛するようになってしまう>>続きを読む

呪霊 THE MOVIE 黒呪霊(2004年製作の映画)

4.0

白石晃士の原点はここにあったかという作り込まれた映像。本作の企画自体が『呪怨』に引っ張られているおかげであんまし怖くないけど、ホラー映像としてのクオリティは全体的にとても高いと思う。

温泉シャーク(2024年製作の映画)

4.5

東洋のモナコこと厚海市(笑)に3Dプリンターで建設された高級温泉リゾート施設を、未曾有の温泉シャークが襲う!そして、無数の温泉シャークが敷いた罠により、街中が狩場となり、政府は、厚海市の爆撃を決断する>>続きを読む

はらわたマン(2019年製作の映画)

4.2

大学生の映画サークルが、廃工場で自主映画『はらわたマン』を撮影中に、プロのスナッフフィルム制作に立ち会ってしまい、彼らの生贄になる。80年代のサム·ライへ作品の強烈なリスペクトを匂わせるタイトルとスチ>>続きを読む

福山市長に1日密着してみた(2022年製作の映画)

4.1

広島県福山市の観光スポット、福山城の改築記念セレモニーに出席する市長に1日密着し映画を撮るつもりが、誤って気絶させてしまい、ディレクター(大迫)が市長に成り替わる。『仁義なき戦い』に憧れる彼は、福山を>>続きを読む

パラノーマル・フェノミナン(2010年製作の映画)

4.6

セ⚪︎クステープすれすれの心霊ビデオよこれ……

エロとグロと心霊を融合させた地点に白石監督の映画はあるとわたしは思っており、それはドキュメンタリー的なもの、つまり限りなくリアルな映像を志向してきた白
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バチアタリ暴力人間(2010年製作の映画)

4.6

「心霊ビデオに本物なんてあるわけないじゃない。全部嘘なの。全部作りモンよ(by白石コージ)」

心霊ビデオの撮影中に、俳優二人が突如暴力を振るい出し、現場は崩壊。後日、彼らが事務所に乗り込んできて、「
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恋のクレイジーロード(2018年製作の映画)

3.8

静かな田舎道を走るバスに、「恋路をひた走りたい」おじさんが女装してバスジャックをする。意味不明な動機に理解不能な能力者の出現そして謎に迫力のある戦闘シーン。17分の短尺を、どんな安易な理解をも寄せつけ>>続きを読む

輪廻(2005年製作の映画)

3.7

実在の連続殺人事件を映画にする一部始終を収めたメタ映画。テレビ番組の収録中に霊が映り込んでしまうという、Jホラー以前の太古のJホラー『邪眼霊』の設定をおそらくは下敷きにしつつ、そこはやはり「呪怨の」清>>続きを読む

ダンボ(2019年製作の映画)

4.2

「俺たちはサーカスの一員だ。生きてくには、現実的にならないと」、、普通にラストほろりしたよ。ティムバートンでこんなに感動できるとは。

膨らみ(2018年製作の映画)

2.6

これは全然インパクト重視の普通のホラー作品でした。尺がなにしろ3分弱なので、物語はもちろん広がりを欠いていて当然なのだけど、肝心の作り手の想像力が広がりを欠いていてはいけない。たとえば、中盤で鏡に映っ>>続きを読む

殺人ワークショップ(2012年製作の映画)

4.2

「どう?どんな気分?やられる側の気分は」

恋人に壮絶なDVを受け、ブスだの生きてる価値がないだの人生を否定され、「殺したい」と願った女性のもとに、「殺人ワークショップ」なるセミナーの知らせが届く。そ
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海底二万哩(1954年製作の映画)

3.5

19世紀のアメリカ。軍艦を駆逐して回る謎の巨大生物が出没したとの噂に、海洋研究家が調査に乗り出すと、なんと怪物の正体は、最先端の技術で作られた巨大潜水艇だった。ジュール·ヴェルヌの古典小説をリチャード>>続きを読む