ひるるく

セフレの品格(プライド) 初恋のひるるくのレビュー・感想・評価

4.0
【過ぎたるは及ばざるが如し】

相互フォロー様のレビューを見て興味を引かれ鑑賞、セフレの品格(プライド)なんて単語のひとつひとつとしては水と油ほど相容れない言葉で偏見を持って眺めてしまったけど、結果としてはタイトルからは想像も出来ないほどの感動系でした。

派遣社員でシングルマザーの抄子バツ2(行平あい佳)は高校の同窓会で初恋の人である産婦人科医の一樹バツ1(青柳翔)と再会し、誘われるがままに一夜を共にする、久しぶりの事に心を躍らせる抄子だったが、一樹からセフレにならないか?と持ち出される・・・ いきなりの事に躊躇する抄子、一樹がセフレにこだわる理由も徐々に解き明かされて行く。

濡れ場もしっかりエロいんですが、レディースコミック原作で女性客を意識してるのか一樹のリードの仕方やカメラワークもスマートで綺麗さとエロさを兼ね備えた印象。

複数の女性と関係を持ち一般的にはとんでもない奴と認知されそうな一樹だが常に相手本位で無理強いもしない、決して"ゆき過ぎる"事が無いように行動原理が徹底している大人の男、相手の抄子にしても一樹ほど割り切れないがお互いに課したセフレのルール(デートはしない、記念日を祝わない、会う約束をしない etc)に則り節度を持った大人として二人の関係を楽しむ、はてさて二人とも独身であるし何の問題があるのでしょう?

本作の面白い所はそんな二人を許さない社会の常識やモラルを自分の尺度で押し付けてくる認知が歪みまくった抄子の上司や、相手を愛しすぎる余り常軌を逸した行動をとる一樹の元妻の存在ですね、何事もゆき過ぎるとサスペンス、ホラー、更にはコメディーに見える様なシーンが随所にあるのですが城定監督はこういった演出が本当に上手いですね。

結局は比べる対象が上記の"ゆき過ぎな"2人なのはなんですが、誰にも迷惑をかけずに自らに課したルールをそれこそセフレのプライドあるいは大袈裟に言えば矜恃にかけて守り、中庸であろうとするセフレの二人が常識人に見えてきてしまいました笑

「女に会う日を指折り数えて待つようなダサイ男にはなりたくない」

この台詞を聞いて一樹君も過去の事がトラウマになってるのも解るけど、心と体で極端に割り切りすぎじゃない?と思っていたら、この台詞がフラグになっててラストカットで回収されるのですが思わず、一樹〜!と心の中で叫びました笑、ほんとに脚本も秀逸で見終わった頃にはセフレの二人がたまらなく愛しくなりましたね。

本作『初恋』のあと続編『決意』も8/4に公開、しかも『ベイビーわるきゅーれ』の高石あかりも出演するとの事で楽しみですね。
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