コマミー

SISU/シス 不死身の男のコマミーのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
3.8
【死なねぇ男と金塊】



これは最高にぶったまげた映画だった。

"フィンランド映画界"史上、最高にぶっ飛んだ映画を撮る"ヤルマリ・へランダー"の最新作だ。
これまで、凶暴なサンタクロースに少年達が立ち向かう「レア・エクスポーツ」そして、少年ハンターが墜落した飛行機から出てきたサミュエル・L・ジャクソン演じるアメリカ大統領を守る「ビッグ・ゲーム」と、たった2作で映画好きの心を鷲掴みしてきた、フィンランドとアメリカを股にかけた今期待の監督だ。
そして、彼の作品には必ず、ある"親子の役者"が登場する。"ヨルマ・トンミラ"と"オンニ・トンミラ"親子だ。元々、監督はヨルマを誘って映画界に進出した。
「レア・エクスポーツ」「ビッグ・ゲーム」同様に、息子オンニをメインに登場させ、両作ともに素晴らしい小さなヒーロー像をオンニは完璧に演じきった。ヤルマリ・ベランダー作品にとって、トンミラ親子は切っても切れない存在だ。

そして今回の、「SISU」にはヨルマの"飼い犬"も、主人公"アアタミ"の飼い犬として登場し、そのアアタミ同様、"全然死なねぇ"。
過去にロシア軍を、"たった1人"で壊滅させたという、伝説の老兵であるアアタミ別名シスは、戦時中に大切な人を亡くした苦しみでフィンランド軍を抜け、現在は"金塊"を採掘して生活していた。
そんな時、アアタミは大量の金塊を採掘。意気揚々とアアタミは、その金塊を換金してもらおうと馬で銀行に向かった。そしたら、眼前に"ナチスの一派"がいて気づかれ、カバンを調べられようとする。しかし、アアタミはその一派をたった1人で一蹴。まもなく、その現場もナチスの"ブルーノ"率いる"焦土部隊の本隊"に見つかり、まもなくアアタミとナチス軍団の喧嘩が幕を開ける。

アアタミ…この人がとにかく中々死なない。メタメタに殴られても、首を絞められても、銃で撃たれても、飛行機が墜落しても…マジで死なねぇ。どうゆう育ち方したらこんな人間が生まれるのか…そんな彼も戦争で妻子を亡くした経験を持ち、結構その敵への"憎しみを糧"に生きているのが分かった。眼前に戦争がある限り、憎しみがある限り、死なないのだ。まるで老兵版「マチェーテ」だ。
そして先程も書いたが、"犬も死なない"。特にこのアアタミの飼い犬も見た目に違わず、化け物みたいな生命力を持っており、この犬も大活躍する。残念ながら馬は死んでしまうのだが、犬は死なないので、犬好きは安心してほしい。

そして後半は、"ナチスに囚われた女性たち"も参戦する。その光景は間違いなくタランティーノの「デス・プルーフ」であり、作中の中ではアアタミに次ぐ英雄である。アアタミと共にナチスのゴミどもを一蹴する姿は見ていてスカッとした。私の体調も戻った(前日、会社のバーベキュー大会でハメを外してしまったため)。

そして今回は、ヨルマがメインで出てきていた。今までは息子のオンニがメインであったが、今回はヨルマが派手に暴れていて良かった。悪役に回ったオンニはというと、今回は結構地味だった為、少しそこはガッカリした。次回作は、どちらも同等で活躍できる映画を作ってほしい。

恐らく今フィンランドで1番面白い映画を作れるヤルマリ・へランダー監督が描く戦争アクションは、やはりぶっ飛んでいて、地雷を投げたり、飛行機にツルハシをブッ刺して飛び乗ったりともうメチャクチャな事をして面白かった。
頭を空っぽにして見る事ができ、良い気晴らしができた。
コマミー

コマミー