ジェラルド・バトラー主演、ガチのミリタリーアクション作品をチョイス。
アメリカ国防情報局の職員としてアフガニスタンに赴任していたミッチェル・ラフォーチュンの実体験をベースにしているというのだから驚き。
イランに潜伏中のCIA工作員トム・ハリス(ジェラルド・バトラー)は核開発施設の破壊工作の成功直後、内部告発により全世界に正体が晒されてしまう。即座に中東からの脱出を図るべく30時間後に離陸する英国SAS連隊の飛行機に搭乗する為、アフガニスタン南部のカンダハルを目指す事に—— 。
敵地でまさかの身バレ。
30時間以内に400マイル先の目的地へ。
んなの、無理だって!!
こちらが泣きそうになる。
この緊迫感は堪らない。
「エンド・オブ・ステイツ」「グリーンランド」に続いて、ジェラルド・バトラーとは3度目のタッグとなるリック・ローマン・ウォー監督。なるほど。ジェリーをカッコ良く撮る事には慣れている訳だ。
脱出までのタイムリミットが迫る中、トムに対して、イランの精鋭集団・コッズ部隊の他、パキスタン軍統合情報局(ISI)、ゲリラや武装集団らが容赦なく執拗に襲いかかる。
本当にイランで撮影したんじゃないの?と思う程にリアル。ロケ地はサウジアラビアなんだとか。
トムの味方は少ない。
通訳者であるアフガニスタン人のモーとCIAの司令役ローマン(トラヴィス・フィメル)の2人。
モーとは死線を乗り越える度に人種を超えた絆が生まれ、トムを逃す為に駆け付けるローマンがめちゃくちゃカッコ良い!!
砂漠の中のカーチェイス、闇夜の中で繰り広げられる武装ヘリとの死闘。手に汗握る逃避行に思わず身を乗り出してしまう。
「もうダメだ」と思った瞬間からの空爆が凄まじい。それは王蟲の大群を薙ぎ払う巨神兵の光線の破壊力に似ていた。
果てなき逃亡の先で、ふとした疑問が。
この戦いが果たして正義なのか。
核開発施設を爆破したトムの行いは正しいのか。その施設で命を落とした人もいる。モーもまた、拗れる民族問題の果てに息子を亡くした過去を抱えて苦しんでいる。誰かが英雄で誰かが敵だという単純な二元論ではない。アメリカだけの視点で終始せずに描いているという点では評価したい。