このレビューはネタバレを含みます
人間として生きることの矜持。
善良であることが何の役にも立たない世の中で、誰も見ていないとしても、善良でありたい。そう思えることが、人として生きることの矜持なのかもしれない。ラストシーンを見てそう思った。
この物語を通して彼らの状況は何も良くなっていないし、寧ろ悪化したかもしれないけれど、人として生きるうえで大切なものを確かに手に入れたんだと思う。
主人公2人がいかにも性愛っぽい感じにならないのもすごく好みだった。いわゆるラブじゃない信頼の構築とあたらしい家族のありかた。勇気づけられる。
シングルマザーの彼女がオシャレでカラフルな出立ちなのも、とてもいい。「貧困は貧困らしくしてろ」みたいなアレに明確にNoを唱えているのが伝わる。お母さんがオシャレで楽しい方が子供も嬉しいよね。
神様に見えていなくても互いが見えていればいいって言葉も、すごくよかった。たとえ神様が力を貸してくれなくても、人間には互いに支え合うという幸福がある。
私も自分なりに善良に、時には人に頼って、自分の弱さも受け入れながら生きていきたいな。