まや

星くずの片隅でのまやのネタバレレビュー・内容・結末

星くずの片隅で(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

世の中の悪に対してどう向き合うかとても丁寧に描こうとしていたが、自分的には乗り切れなかった。

主人公は清掃業を営むザク。病気の母親と暮らし、経営もなんとかやってる決して裕福ではない生活を送っている。ひょんなことから若いシングルマザーのキャンディをバイトに雇うことになり、2人でコロナ禍の清掃業の仕事を行なっていく。キャンディは親とも絶縁で頼れる人がいない中で、1人で子育てをしていく貧しいキャラクター。だからこそ、スーパーのものを万引きしたり、掃除を頼まれた家のマスクを盗んだりと、バレなければ何しても良いの精神で日々なんとか生活している。そんな2人の交流を描く物語。

とにかく、ザクか本当に良い人。どんなに世の中が悪に染まっていても、それに同化してはいけないと、キャンディが悪さした時にしっかりと正そうとする。自分はどんな苦労をしても決して悪に染まらない姿勢に本当に素晴らしい人物だなと思ったし、本当に幸せになってほしいと思った。

キャンディもとても可愛いビジュアルと、悪さをしても一生懸命なんとか子育てをしている姿を見たり、仕事をしっかりこなそうとしたりしている姿を見ていると確かに憎めないなと思った。

しかし、やっぱり納得いかなかった。今まで、何度も万引きや嘘など、生きるために悪を行ってきた彼女。だからこそ、歯ブラシにきちんとお金を払うシーンにジーンとくるが、やっぱり消毒をこぼしてしまったことを成長した彼女ならきちんとザクに相談して欲しかったなと。

そうしないで誤魔化されてしまうと、結局変わっていないように見えてしまうし、ザクは本当に真っ当に誠実に生きているのに、生きているからこそこんな酷い目に遭うように見えてしまってそこがどうしても納得いかなかった。キャンディは成長しているように感じなかった。

最後、補助金をもらってコスプレするのもなんかそれでいいのか?と思ってしまった。(何故、悪意に満ちた人を助けて、真っ当な人をここまで陥れるのかなと。確かに、彼女とその子供とのつながりはできたが、今まで人生かけてきた仕事も一からは流石に心折れそうだなと...それでも憎まずにいられる人格者過ぎないかなと...少し思ってしまった)

また、悪意に染まるなという主題であるが、キャンディは全て自分で選んできたことの中で、生きていけないから万引き等をしているように見えて、世の中の悪意との関係性もよくわからなかった。

でも、ザクとキャンディとデューの関係性の描き方は素敵だし、どんなに辛くても一対一でお互いを見ていれば平気だと優しく諭すザクは素晴らしいなと思ったし、温かいシーンだなとは思った。
まや

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