そのお

碁盤斬りのそのおのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.3
映画が終わって明るくなって、まず思ったのが「美しい映画だったなあ」ということでした。四季折々の江戸の街も、火による灯りのみで照らされた夜の風景も、碁をうつ格之進の横顔も指先も、何より清廉潔白であろうとするその心根も。さらには、障子を通して柔らかくなった日の光も、格之進と碁をうつことで変わっていく源兵衛の心も。格之進の、刀の手入れをするピンと伸びた背筋も、井戸水で身を清める後ろ姿も、黄金色のススキの海を行く黒い道中合羽の背中も、美しかったなあ…
一方で、市井の人々の日々の暮らしからくる顔や手の汚れ、旅を続けているから汚れが増えていく道中合羽の裾からは、確かにそこで人々が生きているのを感じました。
いいもの、いい仕事を見せてもらったと思います。
まだ公開間もないので、物語の詳細については触れませんが、時にシビアで突きつけられるものもありますが、物語も美しいです。
あと、白石和彌監督ということで、バイオレンス要素についていけるか心配されてる方もいらっしゃると思いますが、時代劇なので刀に斬られるシーンはありますが、「死刑にいたる病」のような観てるこちらまで痛くなるような描写はありません。
とにかく、特に夜の闇と光で描かれる画は、テレビで見ても本来の美しさを完全には感じられないと思いますので、ぜひ映画館で観てほしい作品です。
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