いとまど

碁盤斬りのいとまどのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
3.7
NHKの超入門!落語THE MOVIE2時間版か?落語も映画も好きな私には胸熱。中弛みしそうな人情噺に、白石監督らしいノワール色が混ざった重厚な作品だった。

囲碁は全く分からなくても(分かったら物語がより楽しめるのになぁ…)打ち方や眼差しで対局の緊迫感が伝わってくる。あの少ない動きで人間性が滲んでくるのが凄い。刀で斬り合うシーンとは違った迫力のある戦いだ。
ストーリーやセリフに合わせた盤面や、背景で打っているエキストラの盤面まで100ぐらい囲碁監修の方が作られたらしい。

草彅剛の物静かで芯の強い演技、後半にかけての鬼気迫る表情、痺れますね!
後半は走れメロスよろしく走れつよぽん!
國村隼がこんな優しい老人な訳ない!と思いながら見てた。復讐とは別で、囲碁を通じての友情の芽生えも見所。

個人的に白石作品は光の使い方が印象的なイメージがあって、他の作品だと悪を強調する光が鮮烈に心に残ってるんですが、この作品は柔らかい日常生活に溶け込んだ光や、囲碁を打つ月夜に照らされた美しい光など、またいつもとは違った光の表情が見れたように思います。

映画の帰り道は、Spotifyで柳田格之進の落語を聴き、帰宅後にNHKの囲碁フォーカスも見てみたり。分からないなりに他ジャンルを通して、また映画のこと考える時間も楽しかった。
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