江戸に生まれなくて良かった〜!
義理人情を物語の軸にして、
落語をベースにして膨らませながら、
それでも現代のモラル基準を入れてないのが素晴らしい。
ドラマ『〇の戦争』シリーズで草彅剛の復讐顔は見慣れてるつもりだったけど清潔で紳士的な浪人が髭モジャブチ切れヤクザになる振れ幅。殺陣の身体性が加わることで振れ幅がえげつなく広がり、時代劇の必然がある。
序盤、静かな囲碁映画に見せかけて、
小泉今日子のとある展開でバイオレンスの匂いがぶわっと流れ込むのが素晴らしい。この不穏さは表面上は解決されるが、結局「その構造」があり続けることは変わらず、不穏は残る。
草彅剛がインタビューでも言ってる通り、美談の主人公が江戸の基準に潔癖すぎてどうかしている。ストレートな感動に無理に落とし込まず、近世のモラルはヤバいよね…というザラつきが残っていて、古典への批評的映画になっている。
斎藤工が打つ講釈も面白いし、
二転三転風見鶏で人が変わる國村隼、名人芸。
トリックのネタバラシは落語すぎて、
実写映画にするとアホすぎる!