太い芯を持って生きよ
白石和彌監督初の時代劇作品。今まではサイコ・サスペンス、ヤクザなど大人向けの作風が目立った白石作品。今回まさかの時代劇ということで期待と不安で一杯でしたが、これがまさかの真っ直ぐ突き進む王道時代劇。もはや清々しいレベルの作品でした。
浪人の柳田格之進を演じたのは草彅剛。途中までは通常の草彅剛のイメージでしたが、とある出来事が起きてから印象がガラッと変わる。これが果たして浪人としての覚醒なのか、武士としての誉の帰還なのか。力強い演技であることには違いありません。引き込まれます。
幸先不安な展開はありながらも決してバイオレンスなわけではない。心に余裕を持たせて観れる点では異色の白石作品なのかもしれません。欲を言えばR指定でも大歓迎。ですが、白石和彌監督自身が撮ってみたい時代劇を完璧に具現化することができたであろう渾身の一本。観ない以外の選択肢はありません。
碁を打つ強い音と静寂な空間。劇場でしか味わえない贅沢な映画体験でした。
2024.5.22 初鑑賞
