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碁盤斬りのTaulのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
2.0
『碁盤斬り』展開や行動にやけに疑問が多かったが、話の元になった落語を聴いて納得した。清廉潔白な男の人情噺を、仇討ちものにするための肉付けで不備が生まれていた。落ち着きのない演出やカメラワークも苦手だった。でも美術や雰囲気は良くて、本格エンタメ時代劇の見応えはあった。時代劇復活の一手を担えるといいと思う。

『碁盤斬り』元になった「柳田格之進」の落語を何人か聴いたが、志ん朝のが抜群に面白かった。でもこのままでは実写のエンタメにはならない。活劇を多めにした改変は分かるが、ちょっと雑だったし、この脚本家は古くさくて、本作でも驚きや深みには届かなかった。でもそれが年配の方や時代劇に馴染みのない人には、良かった点にもなりそうだ。

『碁盤斬り』時代劇にもいろんなタイプがあるが、人によって好みも違うし感じ方もそれぞれだろうし、逆に今や白紙に近い方もいるだろう。本作は東映任侠ものや、必殺シリーズのテイストを感じた。それと白石監督はまだまだ試行錯誤中なようにも思った。なお、元がこの話なら山中貞雄の長屋もののテイストも面白かったかも知れない。テンポよく90分で描けたと思う。
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