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碁盤斬りのodyssのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
3.0
【脚本の詰めが甘い】

先に公開された『鬼平犯科帳』に続く時代劇映画。
時代劇が好きな私にはうれしい。

鬼平とはかなり趣向を異にする作品ですが、囲碁をめぐる武士と商人の交流などは悪くありません。

ただ、いちばん肝腎なところでの話の展開が、どうも私には納得できない。
ネタばれになるからボカして書きますけど、柳田(草彅剛)はあくまで清廉潔白だと主張する以上、また直接的な証拠が何もない以上、五十両を用立てる義理はないと思います。ましてそのために娘(清原果耶)が……というところには全然納得できない。

総じてこの映画の脚本は詰めが甘いんです。
小泉今日子(さすがに老けましたねえ)は、柳田親子に対しては好意的なんですよね、ラストまで。でも彼女には職業柄非情なところもかなりある。そこが放置されたままで柳田親子だけ救われるのは、どうかなという気がする。

悪役の柴田兵庫(斎藤工)が柳田に投げつける言葉にも一片の真実がある。しかしだからといって柴田が藩から持ち出した品を……って、そりゃないだろうと思う。

こういうふうに、この映画、筋書き展開にどこか納得できない部分がある。
脚本家の問題だと、私は思います。
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