ヤマト

碁盤斬りのヤマトのネタバレレビュー・内容・結末

碁盤斬り(2024年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【 覚“碁”の最“碁”。“一両”刀断 】

 草彅剛さん、國村隼さんが深すぎる。日差しや夕日、月夜に灯り火に照らされる表情が美しくて、見惚れてしまう。とても素晴らしかった。小泉今日子さん、市村正規さんの出演も嬉しい。
 草彅剛さんのオーラに脱帽である。物静かでどこまでも正々堂々。ここぞというときに怒る人間味と、家賃を滞納する可愛げ。強烈に印象深いキャラクターであった。
 たかが一両、されど一両。甘くみないし、粗末にしないし、不当に得ない。あくまでもお金を正当に得る姿勢は、一刀両断ならぬ一両刀断である。
 己の信念を貫く生き様はまさに武士道そのもの。約束は破らない。いかなる理由があっても。そして逞しく、正しく生きる。いかなる理由があっても。
 最後に碁盤をふたつにしたのもまた粋な生き様だと思う。あれは、自分への約束を破ったのではなく、斬ったのである。大切な碁盤を両断したことと関連させた、覚“碁”(かくご)の最“碁”(さいご)といえよう。
 ここぞというときは己の信念を変える潔さもまた武士道。なるほど確かに、正しいことよりも大切なことがあるのだ。ああ、なんと美しい生き様なのであろう。
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