このレビューはネタバレを含みます
【 覚“碁”の最“碁”。“一両”刀断 】
草彅剛さん、國村隼さんが深すぎる。日差しや夕日、月夜に灯り火に照らされる表情が美しくて、見惚れてしまう。とても素晴らしかった。小泉今日子さん、市村正規さんの出演も嬉しい。
草彅剛さんのオーラに脱帽である。物静かでどこまでも正々堂々。ここぞというときに怒る人間味と、家賃を滞納する可愛げ。強烈に印象深いキャラクターであった。
たかが一両、されど一両。甘くみないし、粗末にしないし、不当に得ない。あくまでもお金を正当に得る姿勢は、一刀両断ならぬ一両刀断である。
己の信念を貫く生き様はまさに武士道そのもの。約束は破らない。いかなる理由があっても。そして逞しく、正しく生きる。いかなる理由があっても。
最後に碁盤をふたつにしたのもまた粋な生き様だと思う。あれは、自分への約束を破ったのではなく、斬ったのである。大切な碁盤を両断したことと関連させた、覚“碁”(かくご)の最“碁”(さいご)といえよう。
ここぞというときは己の信念を変える潔さもまた武士道。なるほど確かに、正しいことよりも大切なことがあるのだ。ああ、なんと美しい生き様なのであろう。