千年女優

碁盤斬りの千年女優のレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
2.0
故郷を追われた男やもめの食い詰め浪人で、江戸の貧乏長屋で娘のお絹と暮らす柳田格之進。かねてより嗜む碁で商人の萬屋源兵衛と懇意になるも対局中に起こった五十両紛失騒動で嫌疑をかけられた彼が、一方で妻を死に追いやった事件の真相を知り、復讐すべしと自ら身売りしたお絹の願いを叶えるために旅立つ様を描いた時代劇映画です。

注目を集めた『凶悪』以降精力的に活動する白石和彌が、元SMAPの香取慎吾が主演を務めた『凪待ち』で協働した加藤正人が古典落語を基に書き上げた脚本を映画化した作品で、香取に続き白石作品に登場の草彅剛を中心とした豪華キャストや七大タイトルを二度制覇した井山裕太と女流の第一人者である藤沢里菜の出演が話題になりました。

作中の相手に負けを悟らせての投了は明確な「舐めプ」で誠実さの欠片もなく、それが象徴する様に元来の人情劇に噛み合わぬ復讐劇を足す強欲が祟って一貫性ない人物による物語の破綻は岡目八目です。終盤の一連の展開は茶番でしかなくヘソで茶が沸きますが、そうまでして負けを認めたくないならこちらから投げて差し支えない一作です。
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