コマミー

ブルーバック あの海を見ていたのコマミーのレビュー・感想・評価

3.8
【ウェスタン・ブルーグローパー】




"ウェスタン・ブルーグローパー"…"西オーストラリア"に生息しているベラ科(他にはコブダイなど)の一種の魚で、体長約1.5メートル、体重約40キロほどで、約70年は長生きすると言われる巨大魚だ。凄い人懐っこい性格で知られ、今も尚人々を魅了し続けている貴重な魚なのだ。

そんなウェスタン・ブルーグローパーの「ブルーバック」が生息するターコイズブルーと共に育った"アビー"とその母:"ドラ"の有力者による"環境破壊"への戦いを含めた"母と娘の絆"の物語である。いつの時代も、私はこうゆう物語がとても好きで、問答無用で高く評価している。
原作は、サイモン・ベイカーの監督作「ブレス」の原作者または共同脚本で知られる"ティム・ウィントン"。オーストラリアを舞台にした小説を書き続けており、イギリスの文学賞であるブッカー賞を2度受賞している。
そしてそんなウィントンの原作小説である本作を監督したのは、本作にも出演している"エリック・バナ"の主演作「渇きと偽り」の監督:"ロバート・コノリー"だ。

私はこうゆう自然と共存した人間の姿を描いた作品がとても好きで、特に海を舞台にした人間ドラマはとても好きだ。今回のアビーとドラという母と娘の物語も、"同じ方向"を見つめ、その地を守る為に"熱くなれる"…"一つの素敵な親子像"を余す事なく描いた作品が本作なのだなと感じた。だが、どんな親子でも"すれ違い"も生じてしまう事も本作の大事な親子像として描いているのも良かった。
そして何よりも素敵なのは、アビーの「ブルーバック」との"触れ合い"。こんなにも人懐っこく、また会いたくなる魚は滅多に出会えないだろう。本作で登場するブルーグローパーは、決してCGではなく、本物のように忠実に再現した動く人形を使ったというのも中々面白いエピソードだった。

本当に冒頭から最後までとても居心地の良い映画だった。海に囲まれたオーストラリアだからこそ撮れた映画だと思うし、ウェスタン・ブルーグローパーの事をよりよく知る事が出来た作品だった。そして同時に、有力者による利益重視の環境破壊活動には苛立ちも覚えたし、誰かがそれに向かって"声を上げなければ"本当にそれが壊されてしまう事もちゃんと学べた作品だった。それに意見や立場の相違があるものの、この母と娘がそれに立ち向かう姿は見習うべきだなと感じた。

これは、親子で見るべき作品だ。一つの映画としても、学習教材としても、多くの人に見られるべき作品だなと強く感じました。

2023年の良い映画納めになりましたね。
コマミー

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