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ヴァチカンのエクソシストのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

実在のエクソシストをモデルとしたラッセル・クロウ主演のホラー映画。
特に目新しいものがあるかというとそうでもないが、王道という感じで個人的には好き。
スプラッター的な要素はほどほど(血はそれなりに吹き出す)なので、耐性ない人でも安心して見れるかと思います。


以下、ネタバレあります。

かつて、パルチザンとしてファシストやナチスと戦っていたバチカンの主席除霊師のガブリエーレ・アモルト神父は「霊現象の98%は精神疾患などで医療が必要。残り2%は悪である」と言う持論の元、各地をバイクで回り活動を行ってきた。
ところが、ヴァチカンの司祭の中には悪魔の存在を信じず、さらに許可なく悪魔祓いを行うアモルト神父を煙たがる者も出てきていた。

しかし、アモルト神父は「自分はローマ教皇によって選ばれたエクソシストだ」と飄々とした態度を取り続けていた。

そんなガブリエーレにローマ教皇はスペインのサン・セバスチャン修道院にいる少年を救ってくるよう頼むのだった。

サン・セバスチャン修道院には夫を亡くしアメリカから移住してきたジュリアと娘のエイミーと息子のヘンリーが住んでいた。
子供を養うため修道院の修復と売却を考えたジュリアだったが、地下ガスによる爆発などもあり作業員がいなくなってしまい途方に暮れていた上、夫の死後、言葉を発せなくなったヘンリーの様子がおかしくなり、自分を傷つけ始めてしまう。

病院に行っても脳に異常はないと言われ、精神科への入院を勧められ家に帰る3人だったが、突如ヘンリーが別人の声で「神父を連れてこい」と語りだし、教区担当のトマース神父を呼ぶジュリアだったが「お前ではない」と謎の力によって部屋の外に吹き飛ばされてしまう。

そこへアモルト神父が派遣されてくるのだが、ヘンリーが誰も知り得ない情報を語り始めたことから悪魔に取り憑かれていると確信し、悪魔祓いのために修道院を調べ、悪魔の名前を突き止めようとするのだった。


まず、ラッセル・クロウ演じるアモルト神父のキャラクタがよいです。

自信に満ち溢れ、人間の心理を巧みに利用し精神疾患患者を安定させたり、悪魔相手にもジョークを言ってみたり(悪魔には有効とのこと)と最強のエクソシストじゃん…と思わせておきながら、過去に仲間を殺され1人だけ生き残ってしまって後悔してたり、悪魔祓いは必要ないと他人に任せた結果少女を死なせてしまったりと、中々に業が深い過去を持ってたりします。

そこを悪魔に突かれてしまい翻弄され、他人を守るために自己犠牲を選ぶ等、人間臭さもありつつ、きちんと聖人であるバランスが非常によい。

また、相方となるトマース神父も、最初はラテン語も読めない、悪魔祓いなんてしたことない…と頼りなかったが、ガブリエーレと悪魔の対峙する姿を目の当たりにし、成長していく過程がバディ映画として非常に面白かったです。

個人的にはガブリエーレがトマースに自分の罪を悔い改めるシーンがトマースの成長を感じさせてグッと来ました。


ただ、話的には「大丈夫なのか?」ということもありました。
1番のポイントは「かつて教会が行っていた異端審問は悪魔に取り憑かれた神父が行ったもの」ということであり、なんと教会の黒歴史を悪魔のせいにしてしまっています。

さすがにエンタメ作品なので、本気でそんなことを考えてるとは思いませんが、人によっては良い感想を抱かないかな、と思いました。

それでいて、少女が性的暴行を受けていたことをヴァチカンが気づいていたのに隠していた…なんて現在進行系で黒いところもあったりして大丈夫?と心配になりながら、そこに所属しているガブリエーレってなんなの?とも思いました。
もしかしたら内部からそういった腐敗した部分を変えていきたいという気持ちが、彼を突き動かしているのかもしれません。

最後は悪魔祓い映画のお約束どおり、悪魔とのガチンコ対決になりますが、急にジャンル変わった?というくらい激しくなり見応えがあります。


ところで、悪魔のやり方ってなんでこんなに回りくどいんでしょうかね?

今回は、ヴァチカン内部から破壊するために権力のあるエクソシストに取り憑きたいから少年に取り憑いて誘い出したって事みたいです。
そもそもの疑問なんですが、悪魔って人に取り憑かないと移動できない地縛霊みたいなものなのかな?


今回の悪魔は堕天した200体の悪魔のうちの1匹らしく、他に199体が神の加護を受けることなくどこかに祀られている(封印されている)とのことで、それをこれから退治していくみたいです。

ってことは、ヴァチカンのエクソシスト200までやるってこと?

さすがにそんなわけないとは思いますが、個人的にはシリーズ化して欲しいな、と思えた作品でした。
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