25歳を過ぎたあたりで、それまでの人生が生まれ育った環境や経験したことだけでなんとなく流れに身を任せていても、その生まれ持った人生貯金を切り崩すだけで成り立っていたことに、急に気付き始め、突然自分の人生と貯金0で向き合わなければいけない瞬間を迎え、恐ろしくなる時が訪れる。
主人公が語る過去の話はほとんどが楽しい思い出ばかり。
しかし現在は不登校気味の生徒の重い(であろう)悩みを聞いてしまったり、家族との関係や父親のことなど、楽しいだけでは乗り切れなくなり、追い討ちをかけるように物忘れが激しくなり楽しい過去が薄れていくであろうが、忘れることを「安心する」と言ってしまえる主人公は、「昔はよかった」とならず、今とこれからに向き合える本当に優しい人だと感じたし、つまりこの作品も優しさで溢れている。
二ノ宮隆太郎にはもっと映画を撮ってほしいし、もっと俳優としても見たい。