Uえい

レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)のUえいのレビュー・感想・評価

3.5
ヘンテコだけど超ユニークな映画だった。現実と劇中劇がメビウスの輪のように入れ替わっていき、なんだか分からないけどハッピーな気分になる。

おばあちゃんが主人公でレオノールという引退した有名映画監督だった。今は息子のルディと二人で暮らしている。ルディは死んだ兄ロンワルドが見える様だった。

レオノールは夢想家で、引退しても映画に夢中で、脚本を書いていた。そんな中、レオノールは飛んできたテレビに頭を打ち、寝たきりになってしまう。母を覚醒させようと、ルディは母の脚本を読み、映像化を試みる。

一方レオノールは夢の中で、自分の脚本が映画化された世界にいた、その世界ではルディが死に、兄ロンワルドが生きている現実とは逆の設定だった。

ここから複雑になっていく。現実世界のテレビでレオノールの夢が放送されていた。そして夢の世界に入るため、ルディは自らテレビで頭を打ち、母と再開する。と思ったら、それも込みでルディが撮影中の映画だった。

母レオノールが息子との関係を見つめ直す様な展開かと思いつつ。息子ルディが、母との関係、死んだ兄や、母と離婚した父との関係を見つめ直すセラピー的映画だった事がわかる。夢、現実が交錯するのは「マトリックス」的でもあり、川島雄三が「幕末太陽伝」のラストでやりたかった、セットを超えて走り出すというアイデアを一歩先に進めたかの様なトリックで凄い!

最後のシーンはレオノールとキャストたちが楽しげに歌っていて幸せな気持ちになった。もう一回見たいなあ。
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