ツクヨミ

レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)のツクヨミのレビュー・感想・評価

3.9
メタ構築がありまくりで無茶苦茶なんだが技巧がやっぱり面白いヘンテコ映画。
予告編にてえらくメタい感じが面白そうだと感じて見に行ってみた。
まず本作は昔脚本兼映画監督だったおばあちゃんが自分が書いた脚本の世界に入ってしまうという"ラストアクションヒーロー"みたいな話だ、だがそんな軽い説明では決して言い表せないヘンテコな技巧がありまくりでいろいろすごかった。
まあ主人公おばあちゃんがなかなかに幻覚浸り気味というか、昔書いた脚本を見つけるといつのまにかその脚本世界にトリップしちゃう。そこからはやはり現実での物事が彼女を現実に戻してくれるんだが、ブラウン管テレビが上から降ってきて頭に当たった瞬間謎の青背景にムービングマッチカットで飛び込み書き出しの脚本にキックインするぶっ飛びストーリーがスタートする。
それもあくまでも脚本内世界では主人公が存在しており、たまにふらっと彷徨うようにおばあちゃんが出てくる脇役なんだがいつのまにやらドタバタ劇で中心人物になっていく無茶苦茶なフラットさ。それはそれとして現実では昏睡状態のおばあちゃんを尻目に息子がなんか奮闘する映画内世界と現実のクロスカッティングで見せる。
まあもう現実世界のテレビでおばあちゃんが出てきて、もはや映画内でも現在進行形な無茶苦茶な設定や、映画内でも脚本をおばあちゃんがタイプライトしつつ進行するとかとんでも展開のオンパレードで爆笑。プロットは"マトリックス"みたいだけど"エブリシングエブリウェアオールアットワンス"みたいな無茶苦茶とんでも映画だと思う。
結局は技巧的な面白さが先行するドタバタ劇ってことでいいんだけど、ラストの"カメラを持った男"オマージュ的なメタ視点にもおったまげた。フィリピン映画界にはばけもんがいるんすねぇ。
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