岬

アラーニェの虫籠 リファイン版の岬のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

む、むずかしい……。

公式サイトに謎の検証ページがあるくらい難解なホラーアニメ映画。

なにげにホラーアニメって少ない気がする。
今作は制作の殆どを1人で行ったということでなお珍しい作品。

1人で作ったとは思えないくらいきれいなアニメーション。
CGを使うことで滑らかなカメラワークも実現していて、これが怖さを引き立てる。しかしCGに頼り切っている訳でもなく、印象的な目元などは描いている……気がする。分からないけれど。
リアルな背景とシンプルな塗りのキャラクターの差に最初は抵抗があったが、気になるのは見始めだけで、色味の調整でかなり馴染んでいることに気づく。キャラクターのライティングを省略したのは制作コストの削減の意味もあるだろうが、個人制作で全てに力を入れたらとんでもないことになるので、良い省略だと思った。

そしてストーリー。
意図的に説明的なセリフを削がれており、想像に委ねられた作品なので本当に難しい。(正解は一応ある)

虫が人間から這い出るところを目撃したりんが、その虫の謎に巻き込まれていく――。というのがあらすじだと思う。
最後の謎は簡単で、そういうことかと少しすっきりするのだが外が心霊虫によるディストピアになっており、主人公の個人的な問題以外何も解決していないような気がする。

残った謎
・主人公に接触してくる関係者。
関係ない人が出てこないので当然だとしても、齊恩、時世、未可耶と心霊虫のプロみたいな人が沢山出てくる。裏に組織でもあるのだろうか。彼らのバッググラウンドは殆ど明かされずに終わるので、特に時世と未可耶は何者なのか気になる。

・乳母車を押す女。
主人公の母親説を推す考察を多く見たが、冒頭で主人公は不動産詐欺にあっているので、大学進学を期に親元を離れたのではないだろうか。母親は主人公のことを嫌っていたようだし。
心霊虫を人の体から開放し死魄兵を作る、軍関係者か?
だとすると外見と年齢が合わないので、蛾の代わりに蜘蛛を入れられて操られている死魄兵?
アラーニェ=蜘蛛 虫籠=乳母車 のような気もするし。

・主人公の謎の力。
乳母車女を突き飛ばした力は何だったんだろう。
彼女が過去の過ちを受け入れたことによって心霊虫が浄化されオオミズアオになった???
何かヒント合ったかなあ。

・外を這い回る巨大な虫。
心霊虫なのは間違いない。
最初にある過去のシーンでも似た虫が登場する。ただ、あれは現実ではなく被験者の幻覚だと思ったのだけど……。あの街は過去にも一度虫に襲われたなんてことは無いだろう。
後半の虫については病院のシーンから現実だと思うが、斎恩や未可耶による抑えが無くなっただけであんなに増えるものか? 乳母車女もやっつけたのに?
虫が見える人と見えない人がいるらしいので、見える人には最初からああ見えていたのだろうか。確かに中盤にもこのカットは入っている。
もし、初めからこうだったわけではないとしたら、ようやく昏睡から目覚めたのにいきなりディストピアに放り込まれたりんが不憫だ。
岬